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2017/11/15

Yasuhiko Amano

天野記者の『オートレースNOW』Vol.2

天野記者の『オートレースNOW』Vol.2

圭一郎に始まり、圭一郎が締めくくった!
実力日本一を決める伝統のSG・第49回日本選手権は11月1日~5日、浜松オートレース場で行われ、“記録ハンター”の異名を取る鈴木圭一郎(浜松32期=22歳)が連覇を飾った。今年のオールスターで4連続SG制覇の快挙を達成。群を抜く安定感で、V有力候補の期待を裏切ることなく、初日から1、2、1、1、1着の成績で昨年に続く優勝となった。SGは5回目の優勝で、次のターゲットはSS王座決定戦(12月31日=川口)になる。

今年、絶好調のダブルグランドスラマー・永井大介(川口25期=40歳)、絶対王者・高橋貢(伊勢崎22期=46歳)ら強豪を相手に、危なげないレースぶりが光った。優勝戦では2枠から好スタートを決めると、すぐに先頭を奪い、そのまま押し切った。木村武之(浜松26期=40歳)にピタリとマークされたが、抵抗も5周回まで。「最初は聞こえていた」という木村武之のエンジン音が徐々に遠ざかった。
鈴木圭一郎が10周回用に調整したエンジンは後半こそ威力を発揮する。独走態勢を作り、悠然と連覇のゴールに飛び込んだ。

昨年、号泣した表彰式では「今年は泣かないようにしたい」と、満面の笑みで語って、ファンを沸かせる。
「自分を信じて乗った。いつも通り緊張しないようにスタートした」
絶好のスタートが切れたのはマシンが納得のレベルに仕上がっていたからだ。準決勝戦の1着後にオイルを換え、リングも交換。
「エンジンは完璧だった」
その妥協を許さない調整も普段と変わらないものであった。

今年は初優勝が4月中旬と遅かったが、その後は一気に加速。G1スピード王決定戦を制するなど、優勝回数は6回にもなった。
「展開とかスタートとか、流れが悪かっただけ。焦るといけないので」と、初優勝までを振り返る。そして、2年連続MVPも視界に入り、現実味を帯びてきた。
「今年も圭一郎イヤーと呼べる年にしたい」

圭一郎イヤー、そう呼ばれた昨年に続くVラッシュを年末まで続ける決意。
「もちろん、SS も獲りにいきたい」
SS王座決定戦までフルスロットルで突き進む。ちなみに「圭一郎イヤー」と報じたのは日刊スポーツである。

日本選手権優勝の大きな要因の一つとして、初日から最終日まで全て12Rに出走したことが挙げられる。これは優勝戦メンバーでは1人だけだった。最終レースは走路が冷えるだけに、他の選手は調整が難しい。現に木村武之は「12Rは乗っていないので少し心配」、山田達也(川口28期=34歳)は「だいぶ冷えると思うので、時間帯に合わせたい」というコメントを残していた。尚、全12R出走はタイトルを量産していた頃(約10年前)の高橋貢に似ている。
鈴木圭一郎は整備日の10月30日に現地入りし、いつもと何も変わらずに、黙々とエンジンに向かい合っていた。
「ロッカーで寝泊まりしたい」
7歳からポケバイ(50cc)に乗り、10歳から整備を始めた。オートレースは職業であり、趣味であり、道楽でもある。
「オートレース以外には時間もお金も使いたくない」
今の活躍を誰も止められないのは、そんな信念があるからだ。

日本選手権の前はイベントなどで大忙し。10月22日のG2ウィナーズカップが終了後は23日にオートレース名古屋でトークショー、27日は都内のスポーツ新聞社を訪問して今大会のPR、29日にはオートレース船橋でトークショーに出演した。その多忙な間を縫って、群馬県の赤城サーキットに出向いて「オートレースの練習にもなる」と、100ccのバイクに乗っていたのは実にバイクの申し子らしかった。

日本選手権では3日目準々決勝、4日目準決勝で.339と、破格のタイムを叩き出した。不確定要素の多いオートレースだが、鈴木圭一郎は信頼できる。ファンの車券への貢献度は文句なしにNo.1だ、記者も何度も助けてもらった。年末の大一番、SS王座決定戦トライアル戦でも主役を務めるのは間違いない。

Text & Photo/Yasuhiko Amano

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