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2018/02/16

Sakura Kimihara

恋して競輪ハンター

恋して競輪ハンター

『恋して競輪ハンター』木三原さくら=6 Hunting

2月4日の立春が過ぎ、暦の上では春となりました。でも、雪が降る中での競走があったりして、まだまだ春が待ち遠しい日々が続きますね。
四日市競輪場でG1全日本選抜が始まる1日前から平塚競輪場ではF2開催が始まりました。初日に出場メンバーを確認した時、正直、私の心が躍る選手はいないなぁ~という印象。初日に走っていたチャレンジ出場選手の平均年齢は40.3歳、20代は35人中4人だったのです。
でも、この開催は終わってみると胸が熱くなる競走がたくさん!しかもその主役は”人生半世紀”という50代のベテラン選手たちでした!
例えば、初日チャレンジ予選5R。真船拓磨選手(福島96期)率いる北日本ラインVS菱沼元樹選手(埼玉111期)の関東ライン。その関東の3番手には山中祥吾選手(静岡56期)がついていました。もう1人の久松昇一選手(静岡59期)は単騎を選択し、3対3対1でレースは展開されました。
真船選手が菱沼選手を抑えて先行し、菱沼選手は一旦後方へ引いてのカマシ。23歳元気いっぱい菱沼元樹選手のカマシに53歳山中選手はもういっぱい、いっぱいといったところでしょうか。菱沼選手の走りについていけず、取り残されてしまいました。しかし、現役生活33年、まだまだ諦めてはいない様子。離れたならば、入ればいいと降りたところは同じく選手歴33年、期としては半年先輩の笹治稔選手(北海道55期)のところ。山中選手が内側の笹治選手にドーン!と、アタック。譲ってたまるか!と、笹治選手も内側から山中選手をドーン!50代選手同士の体当たり、頭突き合いなんてなかなか観られるものじゃありません。仮に見かける場所があるとすれば、朝の満員電車の中くらいではないでしょうか。新聞が邪魔だとか、肘が当たった、当たってない程度の面白味もない争い。そんな醜い争いは見ても、やっても一銭にもなりません。バンクで行われるこの戦いは選手にとっても観客にとっても価値のある戦いなのです。ただ、その後ろにいた清水一博選手(岩手84期)からしたら勘弁してくれといいたいところだったでしょうが。
このように激しく戦っているうちに、前の3人はグングン進み、山中選手と笹治選手の勝負は4、5着争いになってしまいました。予想して車券を買っている側からすると、着外の争いというものは解せない部分もあるかも知れませんが、チャレンジ予選は4着でも準決勝に進めるので、選手にとっては重要なこと。結果は内側にいた笹治選手が守り切り4着で準決勝に進み、山中選手は6着で一般戦行きとなりました。

翌日にも闘志みなぎる競走が。1Rは補充できた52歳の黒瀬浩一選手(静岡57期)が番手に飛びつき奪って2着。2Rでは55歳の茨木基成選手(東京60期)が地元・神奈川のラインへ競りに行き番手を奪い、さらに直線で追い込んで1着と、またも50歳過ぎた選手の熱い走りを観ることができました。
一般的に人間の筋肉量は20代をピークに、30代以降徐々に減っていくと聞いたことがあります。日々、練習に励んでいる選手には当てはまらない部分もあると思いますが、どうしたって月日の流れには抗えないものです。筋力、スタミナ、回復力などなど……想像ですけれども、選手として20代の頃のままとはいえないでしょう。それでも、年月を重ねた分だけ経験と技術を重ね、今も変わらぬ闘志を持ち続けている。そんな50代、好きにならない訳がない、惚れない訳がないでしょうっ!!
世の中年男性のみなさん、枯れそうになったら競輪を観にきて下さい。そこには数十年間、戦い続け、何度でも花を咲かせている熱い戦士たちがいますよっ!!

【略歴】

木三原さくら(きみはら・さくら)

1989年3月28日生 岐阜県出身

2013年夏に松戸競輪場で
ニコニコ生放送チャリチャンのアシスタントとして競輪デビュー
以降、松戸競輪や平塚競輪のF1、F2を中心に
競輪を自腹購入しながら学んでいく
番組内では「競輪狂」と、呼ばれることもあるほど競輪にドはまり
好きな選手のタイプは徹底先行
好きな買い方は初手から展開を考えて、1着固定のフォーメーション
“おいしいワイド”を探すことも楽しみにしている

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