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2018/03/19

Norikazu Iwai

携帯電話の持ち込み

携帯電話の持ち込み

ガールズケイリンの大久保花梨(福岡112期)が3月11日から開催の久留米F1参加中に、携帯電話を持ち込んだ。このあまりにも軽率すぎる行動は、初日のレースを走り終わった後に発覚し、2日目から管理秩序違反ということで、参加契約を解除されての欠場となった。報道によるとその携帯電話に通信機能はなく(実際に通信契約は解除されていた)、あくまでも音楽プレーヤーとして使っていたらしい。しかしながら、競輪界のルールでは通信会社と契約をしていない携帯電話であっても機器自体の持ち込みが禁止されているのだ。ゲーム機も対戦型のゲーム機は持ち込めない。言葉は悪いが、この程度のルールを守れないのはプロとして失格だろう。もっと厳しい言い方をすれば、小学生だって学校に持っていってはいけない物くらいは理解できる。
携帯電話が発見されたのは管理棟内にある駐車場、そこを通りかかった参加中の選手が通報したとのこと。あからさまに見えるところに置いていたのだろう。通報した選手にとってみれば、当たり前の行動をしただけだ。それが誰の車なのかは把握していなくても、ルール違反は見逃せない。大久保は現地での取材に対して、謝罪したというが、謝って許される問題ではない。大袈裟かも知れないが、八百長を疑われても仕方ない行為なのだ。ましてや大久保はガールズケイリンでの現在のポジションは男子で言えばS級1班相当で、タイトル獲得も射程圏内という実力を持っている。
携帯電話の持ち込みについては過去、何度もあった。一番厳しい処分は1年間の斡旋停止だったと、記憶している。さて、今回の件で大久保に対する処分はどうなるのか?恐らく、2ヶ月〜6ヶ月の斡旋停止ではないかということだが、そうであったなら処分は軽すぎる。簡単なルールさえ守れない以上、極論だが、競輪学校に再入学させてもいいのではないか?個人的にはそれくらい重大なルール違反だと思っている。
大久保は5月に開かれるガールズコレクション平塚ステージへの出場も決まっていたが、出場することはできないだろう。もっと言えば年末のガールズグランプリへの参加資格もなくなったに等しい。

今回の事件でもう一つ、不思議でならないことがあった。それは選手が自家用車で参加していたことだ。知人によれば、参加選手には交通費が主催者から支払われるという。その交通費はあくまでも公共交通機関、すなわち新幹線などの電車代の実費が支給される。自家用車で参加している選手も同じだという。しかし、それはおかしい話だろう。自家用車で参加しているのに、なぜ電車賃を払わなければいけないのだろうか。中には1人ではなく、複数名で1台の車に乗って参加する例も多々あるという。一般の企業、社会の常識とはあまりにもかけ離れていると、言わざるを得ない実態だ。自家用車なら、ガソリン代(及び有料道路代金)だけを払えばいい話しではないか。一概には言えないが、新幹線代とガソリン代を比較したら、果たしてどちらが安いのか?交通費のごまかし以外の何ものでもないと考える。ボートレースに関して言えば、車での参加は禁止され、交通費も決められたルートだけのものだ。競輪界が甘い、そう言われても反論できない。
何度も繰り返される携帯電話の持ち込みは指導不足でもある。公営競技の一つではあるが、競輪は五輪種目だ。ボートレースやオートレースとは世間からの見方は違うものになる。もちろん、今回のような事件は選手の自覚のなさが最大の問題ではあるが、本来ならば、関係団体の責任も免れない。
簡単なルールも守れない選手に対しては、断固たる処置が望まれる。それができないようならば、競輪界に明るい未来はないであろう。

Text/Norikazu Iwai

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