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2018/03/25

Yuji Yamada

“帝王”山田裕仁の競輪哲学 Vol.20

“帝王”山田裕仁の競輪哲学 Vol.20

松山で開催されたG2レース、第2回ウィナーズカップは武田豊樹(茨城88期)選手の優勝で幕を閉じました。
武田選手の優勝はなんと1年半ぶりというから驚きです。そんなに優勝から遠ざかっていたとは!常勝のイメージが強いだけに、本当に意外でした。
武田選手の近況は……昨夏のG1レース、いわき平オールスターで落車して骨盤骨折の重傷を負い、全盛時の強さには程遠い姿だったと思います。やっぱり、骨折すると身体のバランスも崩れるもの。本当はケガを完治させてから徐々に練習をハードにしていく、そういう方法がベストな状態に戻すには一番早いのです。が、選手の立場では特別競輪の出走条件に、獲得賞金額や最低出走回数などがあるために、ユックリ休んでいる場合ではないというのが実情なんです。

しかし、慌てて実戦に臨んでも、好調時の状態に戻るには余計に時間を要してしまうものであります。結果としてみてみれば悪い方向に出てしまうことが大半。武田選手もこの悪いパターンにハマって、随分と練習方法などで悩み、苦労していたようです。そこで優勝という最高な結果を出せたことは素直に喜んでいることでしょうが、前を回った平原選手の素晴らしい走りがあったおかげだということも実感しているはず。少し離れながらの追走だったことを考えると、まだまだベストではないと。本人も満足していないことはレース後のコメントからも感じました。常に現状に満足することなく、向上心の塊(かたまり)のような選手。見習うべき、頑張って欲しい選手であることに間違いありません。
この決勝戦で武田選手を本命にできなかった私の観る目のなさは、ウィナーズカップの前場所である玉野G3が関係してきます。武田選手は花粉症にも悩まされていて、涙目で私と話していた姿という印象。だからこそ玉野G3のレース内容と比べて、今開催で別人のような走りができていたことに、ただただ感心するばかり。そして、評価を下げてしまい申し訳ない気持ちしかありません。

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