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2018/05/18

Sakura Kimihara

恋して競輪ハンター

恋して競輪ハンター

『恋して競輪ハンター』木三原さくら=12 Hunting

先日、松戸競輪で行われた第15回さわやかチャレンジカップ。S級戦では福島94期の真船圭一郎選手の逃げ切り優勝が決まりました。後ろに地元の石毛克幸(千葉84期)選手と鈴木誠(千葉53期)選手を引き連れ、唯一の3車ラインではありましたが、好調で優勝への意気込みムンムンな佐藤幸治(長崎92期)選手や単騎に堀内昇(茨城95期)選手なども顔を揃えた決勝戦。逃げではなかなか厳しいのでは?というファンの予想を大きく覆し、気持ちいい先行で真っ先にゴールラインを駆け抜けました。

私は真船選手とは車券相性が良く、外れた記憶よりもいい配当の車券を獲らせてもらっている印象の方が強いです。特に逃げている真船選手が好きで、厳しいメンバーでも自分のペースで巧く逃げてくれることも多いですし、捲りの選手同士がもつれたりした時に逃げ切ってオイシイ配当になるんですよね!(その代償と言ってはなんですが、真船選手の捲りでの車券をなかなかゲットできないのがハンターとしての辛いところではありますが……)
優勝インタビューを聞いていると「石毛選手も鈴木選手もついてくれたので、必ず仕掛けようと思っていました」というコメント。自分にラインができたこと、それによって積極的に動いた結果が逃げ切り優勝に結びついたのだと感じました。

競輪を初めて買う人にラインを説明する際、私は“チームのようなもの”と表現します。この“のようなもの”という表現を忘れてはいけないと常々思っています。なぜなら、選手はみんな、己の勝利のために走っているからです。完全なるチームであれば、同じ目標を達成することに全力を尽くすのでしょうが、ラインはあくまでもチーム“のようなもの”。最終目標である自らの勝利に向かって最終第4コーナーまでお互いを利用し合うという感じでしょうか。
そんなラインの構成を考える時、いつも「逃げる選手って1着を獲るためにはちょっと不利じゃないのかな?」と、思うのです。誰よりも長い距離、風を受けながら走る。そして、番手選手もギリギリまで風除けにしたいから、捲りラインのブロックはしてくれるけれども、最後はその番手選手に抜かされてしまう可能性が高い。ラインを組むことで“持ちつ持たれつ”はあるのですが、圧倒的に利用される比率の方が高い、そんな気がするのは私だけでしょうか。
今回の決勝戦での真船選手も番手は縦脚のある石毛選手で、自力選手も他に3人。石毛選手がブロックしてくれても、逃げで1着を獲ることは楽じゃなかったはずです。それでも、優勝するには不利だとしても、果敢に攻める姿勢や、その気風(きっぷ)の良さに思わずキュンと、なってしまいます。また、その結果が今回のような優勝に結びつくのも競輪の面白さでもありますよね。

勝利という目的に向かって戦う選手の走り、これをルール以外のところで善悪の評価つけることはできません。ただ、競輪ファンになってレースを観ていると、それぞれに好きなレース、好きな競走スタイルが出てきますね。豪快な捲りが好きな競輪ファン、3番手でじっと内側を閉める選手の動きに惚れるファン、直線でビックリするくらい伸びる選手のファン、私のようにたとえ不利でも果敢に逃げる選手が好きなファン。そう、選手の数だけスタイルがあって、ファンの数だけ好みもあるのは当然のこと。みんながみんな好きな選手やスタイルって、そうそうないとおもいます。それぞれに違う好みを、談議するのもファンの楽しみのひとつですね。

【略歴】

木三原さくら(きみはら・さくら)

1989年3月28日生 岐阜県出身

2013年夏に松戸競輪場で
ニコニコ生放送チャリチャンのアシスタントとして競輪デビュー
以降、松戸競輪や平塚競輪のF1、F2を中心に
競輪を自腹購入しながら学んでいく
番組内では「競輪狂」と、呼ばれることもあるほど競輪にドはまり
好きな選手のタイプは徹底先行
好きな買い方は初手から展開を考えて、1着固定のフォーメーション
“おいしいワイド”を探すことも楽しみにしている

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