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2018/07/19

Yuji Yamada

“帝王”山田裕仁の競輪哲学 Vol.28

“帝王”山田裕仁の競輪哲学 Vol.28

真夏の祭典・松戸G2サマーナイトフェスティバルは渡辺一成(福島88期)選手が菅田壱道(宮城91期)選手の番手から自力でバック捲りを出して、先行する深谷知広(愛知96期)選手とのもがき合いを制して優勝しました。
松戸開催最終日は前号でも触れましたが、7番手からの捲りはよほど力が違わないと簡単には捲れません。ということで、シッカリ有力選手は敗者戦では修正した走りでありました。例えば、原田研太朗(徳島98期)選手は捲り不発で人気を裏切る形になっていましたが、最終日はカマシ先行でシッカリ逃げ切り勝ち。
南潤(和歌山111期)選手も記念優勝者ということで開催前はかなり注目されていましたが、連日、観せるレース内容も着には繋がらず。しかし、最終日はペース先行で逃げ粘り。最終日の走りが本来の彼の走り、実力なのでしょう。
山田英明(佐賀89期)選手も今年は記念優勝2回の実力者ですが、位置取りにこだわる走り。その位置取りを失敗したら、なかなかリカバリーの効かない松戸バンクの特性に負けて敗者戦回りも最終日はカマシ先行で2着、ラインでワンツーを決めました。この走り方の修正能力が今の好調を支えているのでしょうね。
最終日、久しぶりに競輪を観て、鳥肌が立つような走りをみせてくれたのは小倉竜二(徳島77期)選手のレースセンスでした。忘れていたこの感覚、これが競輪の面白いところでもありましたよね。やはり、このようなレースがお客様の求めているレース内容のような気がしました。今の競輪は大ギヤ時代になり、先行選手が垂れてきません。なかなか後方から突っ込んでくるという最後までワクワク出来る面白いレースは少なくなりました。そして、333mバンクになると、垂れてこないということはなかなか捲れないから先行選手の仕掛けが早くなる。仕掛けが早くなると末が甘くなるので、コースを探して突っ込めるマーク選手は大ギヤの惰性で突っ込んでくる。巧くすり抜けられないと落車してしまう。このような悪循環は今の競輪スタイルであるのも事実です。

優勝戦の結果は、結果論になってしまいますが、ナショナルチームで練習している選手のワンツーでした。日本選手権、高松宮記念杯と、続いて強さをアピールしていた脇本雄太(福井94期)選手は不参加でした。代わって初日から浅井康太(三重90期)選手が離れるほどのダッシュ力の深谷選手。準決勝ではカマシ先行で佐藤慎太郎(福島78期)選手を千切って逃げ粘った渡邉選手。下半期の特別競輪はナショナルチームのメンバー中心にレースが流れていくような気がします。

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