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2018/08/09

Yuji Yamada

“帝王”山田裕仁の競輪哲学 Vol.29

“帝王”山田裕仁の競輪哲学 Vol.29

ルーティン、みなさんも様々なルーティンをお持ちでしょう。競輪選手は勝負師ゆえに数多くのルーティンを持っている人が多いように思えます。
私が現役選手の時には、前検日の前日には地元の神社に“安全祈願”のお詣りへいっていました。はい、ポイントなのは“安全祈願”であって“必勝祈願”ではなかったことです。以前も書きましたが、競輪選手は落車などでケガさえなければ最高の仕事。不景気な世の中だと嘆いたとしても、月に最低2本の斡旋はもらえます。他人様のご機嫌取りをしたり、下げたくもない頭を下げなくても仕事は回ってくるのです。ですから「落車、失格のないように、無事にレースを終えて帰宅できますように」という“安全祈願”なのです。
そして、もう一つは“トイレ掃除”でした。やはり、トイレには神様がいると思っていたのか、レースへ出る前日には必ずトイレ掃除をしていました。植村花菜さんの『トイレの神様』という歌が流行った頃は同感している自分がいたものです。
そして、レースへ出かける当日の朝は自宅の土地の四隅に塩とお酒をまいて、玄関の門の前に盛り塩をして出発です。
このように書くと、なんだか神頼みばかりしているような感じでしょうが(苦笑)……練習というやらなければならない最低限のことをやった後は神頼みでもなんでも“信じる者は救われる”っていう感じでしたかね。

選手を辞めて、今は解説という仕事をいただいて働いている訳ですが、仕事に出かける前日は予想的中祈願に出かけています。私は競輪(車券)も買いますが、競馬(馬券)も買います。ですが、この神頼みに出かけるようになってからは、自分の解説の時は車券を買わないようになりました。どうしても自分の欲が入っているから冷静な判断ができてないような気がしたからです。しかし、スポーツニッポンの予想コーナーの予想目はシッカリ買わせてもらっています。だから、欲目が出てしまうのですかね(笑)。
今後も選手時代の私の車券を買ってくれていたみなさんに少しでも恩返しが出来るように頑張りたいものであります。

競輪界では、いよいよ後半戦の特別競輪・オールスター競輪が今年もいわき平競輪場で開催されます。今回の優勝候補もS級S班を中心に、脇本雄太(福井94期)選手の先行に乗れる近畿勢が有力でしょう。地元の新田祐大(福島90期)選手の仕上がりが良ければ、一層、スピード競輪で盛り上がる開催になるはずです。
ガールズケイリンは小林優香(福岡106期)選手の欠場は非常に残念ですが、後方に置かなきゃいけない選手を絞りづらいメンバーなので、レースは展開一つで全員にチャンスがあると思います。
連日のように猛暑を通り越した酷暑と、まだまだ暑い日は続いているうえに、今年は台風もハイペースで日本列島を襲っています。開催地の福島は私の住んでいる岐阜と比べれば幾分は涼しいのかも知れませんが、熱中症対策には充分に気を配っていただき、盛り上がる開催になることを願っています。

【略歴】

山田 裕仁

山田 裕仁(やまだ・ゆうじ)

1968年6月18日生 岐阜県大垣市出身
1988年5月に向日町競輪場でプロデビュー
競輪学校の同期で東の横綱・神山雄一郎(栃木61期)、西の横綱・吉岡稔真(福岡65期・引退)らと輪界をリード
“帝王”のニックネームで一時代を築いた
2002、2003年の日本選手権競輪(ダービー)連覇などG1タイトルは6つ
KEIRINグランプリ連覇を含む史上最多タイ3度の優勝など通算優勝110回
通算獲得賞金は19億1,782万5,099円。
2002年に記録した年間最高賞金2億4,434万8,500円はいまだに破られていない
自転車競技でも2001年のワールドカップ第3戦(イタリア)で銀メダルを獲得するなどの実績を残した
2014年5月に引退して、現在は競輪評論家として活躍中
また、競走馬のオーナーとしても知られる

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