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2018/08/31

Junko Shitara

心に残るベストショット Vol.13

心に残るベストショット Vol.13

競輪に携わって35年、今回は記念競輪開催中の富山競輪場です。
富山競輪場の入口横には大きなコンクリートの塊があって「一体、これは何だろう?」と、思っていたら、どうやら線路が伸びているから駅らしい。開催日のレースが行われている時間帯には路面電車が停まって多くのファンが降りてくるので、駅らしい風景に変わります。ちょっとユニークなスポット(現在はもっと便利らしい)でした。
以前は毎年6月に行われる記念競輪に足を運んでいました。ちょうどホタルイカ漁が解禁になる時期なので、旅打ちグルメツアーと洒落込むリッチなファンの方も多くいましたね。
そして、富山の顔といったら“瑞峰立山賞”の名の通り、立山連峰が街を、人を見守っているという表現がピッタリ。雄大にそびえ立っていて、本当に頼もしい限りです。蜃気楼で有名な海、美味しい海の幸、風情がある。日本一住みやすい街に何度も選ばれるのは納得です。旅人にも実に心地良い街です。

ある年、富山競輪場で女性アナウンサーを紹介されました。
「富山でアナウンサーとして仕事をしている曽田英津子です」
そのように自己紹介された女性はスッキリした顔立ちに、シャキシャキ話す、いかにもアナウンサーという感じの朗らかな人でした。でも、少し打ち解けると困った顔で「競輪のことが分からなくて……」と、私に切り出してきました。
曽田さんは東京でアナウンサーとして活躍した後、故郷の富山に戻り、フリーランスのアナウンサーとなりました。そこへ知人を通して「競輪場の場内でアナウンサーしてくれる人を探しているんだけどやってみない?」と、お声をかけられたとのこと。そして、競輪場へ赴くと、出走表を手渡されてバンクを指差され「あれ、喋ってみて」……要するにレース実況だったということです。まるで冗談のような話ですが、競輪場が過渡期にありましたので、場内テレビの会社に就職してカメラマンだったはずがマイクを持たされたという人や、競技会職員としてそれこそ場内のご案内アナウンスをしていた女性がそのまま実況も任されたとか、当時は色々ありました。

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