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2018/09/21

Sakura Kimihara

恋して競輪ハンター

恋して競輪ハンター

『恋して競輪ハンター』木三原さくら=20 Hunting

突然ですが、みなさんはサヤエンドウのスジ取りをしたことがありますか?端っこをプチッと豆のある側のスジをスーッと取るアレです。スナップエンドウだったら、そこからヘタをむき、下側のスジも取った方がいいそうですね。もちろん、スジを取らなくても食べることはできますけれども、あとから口に残ると食感も変わってしまいます。手間ではありますが、丁寧に下ごしらえするのは大切なことですよね。

なぜ急にこんな話題なのか?と、戸惑う方も多いでしょう。このコラムはいつからお料理コラムになったのだと。ご安心下さい、競輪の話しはこれから。私はカマシ先行のレースを観ていると、いつも脳裏をこのサヤエンドウのスジ取りがよぎるのです。特に最近は大活躍で、いわき平競輪場でのG1オールスター競輪に引き続き、高知競輪場でのG2共同通信社杯でも決勝に乗った山崎賢人(長崎111期)選手のレースの時です。
共同通信社杯の初日、山崎選手は中団から1度、最後方まで引き切っての一気のカマシ。後ろについていた地元の佐々木則幸(高知79期)選手を連れて、前団を一気に飲み込んで行きました。誰にも止められないタイミング、スピード感、そして何よりライン(スジ)を引き連れていく走り。観ていて気持ちがいいですよね。まるでサヤエンドウのスジがちぎれることなくスーーーッと端から端までむけた時のような爽快感をレースからも感じるのです。

2日目以降も山崎選手にラインができました。また、気持ちよくキレイにスジで出切るのが見たい!と、私は再びサヤエンドウのスジ取りをイメージしながら期待していました。ところがどうでしょう。山崎選手が初日同様に後方まで引いて一気にカマスと、後ろがつき切れない。サヤエンドウのスジ取りの場合、難所はせいぜい豆の凹凸やチョットした傷程度。しかし、競輪では、しかもG2ではスジで越える先は一筋縄ではいかない猛者だらけ。そして、なんだか山崎選手の走りも日に日にパワーアップしてるような気もしました。スジを取る力は強すぎてはいけません。勝負の世界で強すぎることはいいことだと思いますが、ラインで買っていた私は涙目に……。それでも、連日、思い切りのいいカマシ先行に感嘆の声をあげずにはいられませんでした。

競輪はラインの競走です。ラインの結束、パワーバランス、それぞれの思惑、どこかに綻び(ほころび)があると、ラインでゴールを目指すことはできないのだと思います。プチっとちぎれてしまったラインは取り残されたサヤエンドウのスジのように、あと味の悪いものになってしまうのかも知れません。だからこそ、競輪もサヤエンドウもスジが大事!
まぁ、私が力説しなくとも、選手も料理人も百も承知だと思うので。車券を買う私は配当につられてスジ違いやラインの3番手を切らずに、シッカリとスジも抑えていくことを肝に銘じようと思います。

サヤエンドウの旬は春から夏にかけてで、とっくに終わりです。連日の酷暑が懐かしいくらいに秋も徐々に深まってきましたね。競輪界ではこれから今年のグランプリに向けた勝負が佳境に入ります。たった9枚の切符を誰が掴むのか?そこにラインはできるのか?ますます目が離せなくなりますね!

【略歴】

木三原さくら(きみはら・さくら)

1989年3月28日生 岐阜県出身

2013年夏に松戸競輪場で
ニコニコ生放送チャリチャンのアシスタントとして競輪デビュー
以降、松戸競輪や平塚競輪のF1、F2を中心に
競輪を自腹購入しながら学んでいく
番組内では「競輪狂」と、呼ばれることもあるほど競輪にドはまり
好きな選手のタイプは徹底先行
好きな買い方は初手から展開を考えて、1着固定のフォーメーション
“おいしいワイド”を探すことも楽しみにしている

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