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2018/10/01

Yuji Yamada

“帝王”山田裕仁の競輪哲学 Vol.33

“帝王”山田裕仁の競輪哲学 Vol.33

貴乃花親方の引退?退職?相撲ファンにおいて引退でも退職でもそんな言葉遊びみたいなことはどちらでもいいこと。残念なのは貴乃花が相撲界からいなくなってしまうという事実なんですから。
平成という時代も今年で終わりを告げるのに合わせて、平成の大横綱も相撲界から消えるのか?人の命もそうですが、物事全てに終わりがくるのは確かですけれども、大多数の人が貴乃花の相撲人生がこんな終わり方でいいのか?と、そう思っているはずです。
どこの業界も大改革はなかなか受け入れられないようですね。業界に対する思いが強いあまりに、どうにか良くしたい、良くするためには何かしなくては変わらない、変えるために行動を起こす。何もしようとしなかった人間、自分の保身に回った人間に限って「やり方が悪かった」とか「あいつは不器用だから」など、色々な批判的な意見を語る。 だけど、普通にやっていて変わるならば、すでに生まれ変わっています。普通では変わらないからこそ、変えるための行動や言動は、他人からすると「どうしてこんなやり方?」というように映ってしまうのかも知れません。自分がお世話になった、愛した業界だからこそ、このような結果になって悔しいことでしょう。今は何もしないで、惰性で良くなる時代ではなくなっています。だから私は他人事ではないような気持ちでこのニュースを観ていました。

さて、競輪界もいよいよ年末グランプリ出場に向けて佳境を迎えています。残すビッグレースはG1寬仁親王牌(前橋)とG1競輪祭(小倉)です。もちろん、優勝者はグランプリ出場権を得ますが、賞金額上位での出場者にも賞金を上積みできる舞台です。ビッグレースならではのことで、この2ヶ月は本当に集中力を高めて、レースに臨んでくる選手が多いのを忘れてはなりません。

寬仁親王牌の参加条件は……自転車競技大会で各地区の地区プロを勝ち上がった選手が全プロ大会に参加。全プロ大会の成績優秀者から寛仁親王牌の出場選手が選抜しています。自転車競技能力の高い選手たちが参加して競う大会なので、ナショナルチームメンバーが全員参加できていないのは個人的には非常に残念。また、前橋(ヤマダグリーンドーム前橋)での開催ということもあり、スピードを要求される競輪になるので、ナショナルチームで活躍している選手たちのスピード対決を観たいというのがファンのみなさんの本音だと思います。ただ、残念ながらスピードに自信のある新田祐大(福島90期)選手や深谷知広(愛知96期)選手が不参加。今開催も現在の競輪界で最もロングスパートして勝てる脇本雄太(福井94期)選手にとって絶好の展開になるのではないでしょうか。海外遠征などの疲れを残さずに参加できていれば、室内の333mバンクということもあり、かなり有利な戦いになるはずです。

若手の自力選手は先行した時のスピードはあるので、一番強い選手をいかに後方に置いた戦いができるのか、それができる自在選手の立ち回りに注目してレースを観たいもの。小回りバンクだけに穴を開けるのは自在選手の立ち回り次第ということも付け加えておきます。

【略歴】

山田 裕仁

山田 裕仁(やまだ・ゆうじ)

1968年6月18日生 岐阜県大垣市出身
1988年5月に向日町競輪場でプロデビュー
競輪学校の同期で東の横綱・神山雄一郎(栃木61期)、西の横綱・吉岡稔真(福岡65期・引退)らと輪界をリード
“帝王”のニックネームで一時代を築いた
2002、2003年の日本選手権競輪(ダービー)連覇などG1タイトルは6つ
KEIRINグランプリ連覇を含む史上最多タイ3度の優勝など通算優勝110回
通算獲得賞金は19億1,782万5,099円。
2002年に記録した年間最高賞金2億4,434万8,500円はいまだに破られていない
自転車競技でも2001年のワールドカップ第3戦(イタリア)で銀メダルを獲得するなどの実績を残した
2014年5月に引退して、現在は競輪評論家として活躍中
また、競走馬のオーナーとしても知られる

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