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2018/11/25

Shinichi Gokan

『SPIRIT OF BOSS』Vol.2

『SPIRIT OF BOSS』Vol.2

Perfecta Naviをご覧の皆様、後閑信一です。今回は小倉競輪場、メディアドームで行われた第60回競輪祭ガールズグランプリ2018トライアルレースを振り返ってみたいと思います。

競輪界初の試みとなるG1ナイター開催で、前半3日間はこのトライアルレースA・Bがメイン扱い。ガールズケイリン上位28人が年末のガールズグランプリ出場を懸けて激突!迫力のあるレースが繰り広げられました。
ガールズグランプリに出場が濃厚な選手、出場権のボーダーライン上にいる選手、一発優勝を狙うしかない選手たちのぶつかり合いがさらに緊張感を演出してくれたのではないでしょうか。

トライアルAでは連日、山原さくら(L1・高知104期)選手の堂々たる先行逃げ切り勝ちに魅せられ、完全優勝の期待も寄せられました。決勝戦では一列棒状、各選手が山原選手の動きを警戒。そんな中、長澤彩(L1・愛知106期)選手が残り1周半からレースを動かします。それに反応した石井貴子(L1・千葉106期)選手や石井寛子(L1・東京104期)選手が山原選手の後位を狙う。長澤選手の動きで先に動かれた石井寛選手はひとまず3番手に引いたので、山原選手の後位は長澤選手と石井貴選手の併走となりました。そして、先行態勢に入った山原選手を絶妙なタイミングで石井寛選手がHSから叩いて仕掛けたのです。これは観ている競輪ファンを一気に興奮させたシーンで、素晴らしい見せ場を作ってくれたものです。そして、さらに石井寛選手を追走していた梅川風子(L1・東京112期)選手が魅せてくれました。最終第2コーナーで、石井寛選手が外帯線を外したところを見逃さずにインを突き、そのまま気迫と執念でゴールラインまで駆け抜ける。このトライアルレースの醍醐味である一発優勝=ガールズグランプリ出場を実現させたのはお見事でした。

もう一つのトライアルBでは初日から児玉碧衣(L1・福岡108期)選手が貫禄を見せつけました。初日は徹底先行の奥井迪(L1・東京106期)選手を相手に、主導権を譲らずに打鐘から先行して3着に粘り残る。2日目も残り1周半過ぎには叩いて先行、後続を3車身も離す勝ちっぷりが光っていました。この児玉選手に挑む新鋭の姿も鮮烈、デビューしてまだ4ヶ月の19歳、佐藤水菜(L1・神奈川114期)選手です。初日は高木真備(L1・東京106期)選手や大久保花梨(L1・福岡112期)選手を相手に、堂々の逃げ切り勝ち。2日目は細田愛未(L1・埼玉108期)選手に最後は捲られたものの、初日同様、レースの主導権を握って2着に残りました。この勝ち上がりに、トライアルB決勝での児玉選手と佐藤選手のぶつかり合いに注目が集まったものです。

そのトライアルB決勝は高木選手が主導権を握り、佐藤選手は外々を走らされる厳しい展開に持ち込まれました。最終HSでは内側の危険な位置にいた児玉選手は冷静に仕掛けるタイミングを伺っている様子。それでも、佐藤選手は強引に捲り、尾崎選手からガールズケイリンのルールではギリギリの牽制を受けます。その後位から待っていました!と、児玉選手が大外をひと捲り!ここは力と経験の違いを見せつけてくれましたが、万事休すと思われた新鋭の佐藤選手も諦めずに2着まで突っ込み、今後のブレイクを存分に感じさせてくれたものです。

トライアルA・ Bを終え、年末のガールズグランプリ2018の出場7選手も確定。今から楽しみで仕方がありません。
ガールズケイリンは男子の競輪とは違った魅せ方、楽しみ方があると、今回のトライアルレースを観て、感じた方も多いのではないでしょうか?もちろん、私もその1人であります。

【略歴】

後閑信一(ごかん・しんいち)

1970年5月2日生 群馬県前橋市出身
前橋育英高在学時から自転車競技で全国に名を轟かせる
京都国体においてスプリントで優勝するなどの実績を持つ
技能免除で競輪学校65期生入学
1990年4月に小倉競輪場でデビュー
G2共同通信社杯は2回(1996年・2001年)の優勝
2005年の競輪祭で悲願のG1タイトルを獲得
2006年には地元・前橋でのG1レース・寛仁親王牌も制した
その後、群馬から東京へ移籍
43歳にして2013年のオールスター競輪で7年ぶりのG1優勝
長きに渡り、トップレーサーとして競輪界に君臨
また、ボスの愛称で数多くの競輪ファンから愛された
最後の出走は2017年11月10日のいわき平F1
年末の12月27日に引退を発表
2018年1月に京王閣、立川、前橋でそれぞれ引退セレモニーが行われた
現役通算2158走551勝
引退後は競輪評論家やタレントとして活躍中
長女・百合亜は元ガールズケイリン選手(102期)である

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