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2019/01/02

Norikazu Iwai

見たいっ!小林優香 VS 児玉碧衣

見たいっ!小林優香 VS 児玉碧衣

平成最後のクイーンに児玉碧衣(福岡108期)が輝いた。昨年末28日に静岡競輪場で行われたガールズグランプリ2018はその年のベスト7で争われる。3度目の出場となった児玉だが、過去2度とは別人のような動きで頂点に立った。この児玉、デビュー当初、いや在校中から同期の尾崎睦と共に注目を集める存在。ただ、No.1(在校成績)の座も卒業クイーン(卒業記念レース)の座も尾崎に奪われていた。しかし、実力があることは誰もが認めるところだった。そして、児玉は着実に人気も集める選手となり、2年(2017〜18年)続けてオールスターのファン投票で1位に選ばれている。

そんな児玉だったが、なかなかタイトルには縁がなかった。それが昨夏8月のガールズドリームレースを制したことで、ひと皮剥けた。周囲は「児玉は変わった。何が変わったと具体的なことではなく、抽象的な言い方だが、雰囲気が出てきた。よくタイトルを獲ると人が変わるというけれど、児玉も知らず知らずのうちに女王としての風格が備わってきた感じがする」と、評するようになった。
確かに検車場での仕草や所作は変わったように思える。頻繁に取材する訳ではないので、そう映っただけかも知れないが、落ち着いた大人の女性に成長したなと、感じたものだ。以前は同期の選手とはしゃいている姿が多く見られたが、タイトルを獲ったことでその時間は短くなったように思える。その時間をウォーミングアップであったり、集中力を高めるものに充てているのではないだろうか。自分が何をすべきか分かった、プロとしての自覚が本物になった証拠であろう。
身体も大きくなった。体重はあまり変わっていないようだが、見るからに大きく見える。体重ではなくトレーニングによってついた筋肉がそう見せるのであろう。一緒にトレーニングを行う男子選手も舌を巻くほどの強さを、練習では見せつけているそうだ。だからこそ、グランプリは勝って当たり前、下馬評も圧倒的だった。以前の児玉ならプレッシャーに押し潰されていたかも知れないが、ガールズドリームを勝ったことで、プレッシャーをも楽しめる余裕が生まれたのではないか。

2018年の獲得賞金は2,700万円を超えた。これは2015年に小林優香(福岡106期)が記録した2,900万円に迫る金額だ。男子に置き換えれば、日本選手権への出場権を楽に確保したレベル。F1ならば優勝候補だし、記念競輪レベルでも決勝に進めるだけの力があるのと同等だ。
ただ、忘れてならないのは小林が不在の時のグランプリ制覇だということだ。小林はご存じのように2020年東京五輪を見据え、現在の主戦場は競技。今シーズンのワールド杯第3戦、ドイツ大会ではケイリンで銅メダルを獲得している。来年も競技をメインに、ガールズケイリンはどの程度を走るか微妙なところだ。ある情報筋によれば「ほとんどガールズケイリンは走らないでしょう。これは男子も同じです」とのこと。そうなると小林優香 VS 児玉碧衣の頂上決戦が見られるのは2021年になってからなのか?

恐らくではあるが、2019年も児玉がガールズケイリンを牽引(けんいん)していくのは間違いない。男子も女子も成し遂げたことのない年間グランドスラムの可能性を今一番、感じさせてくれるのが児玉であろう。この優勝に酔いしれることなく、さらにバージョンアップした児玉を見てみたいものである

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