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2019/01/11

Shinichi Gokan

『SPIRIT OF BOSS』Vol.4

『SPIRIT OF BOSS』Vol.4

KEIRINグランプリ2018の号砲が鳴りました。大歓声の中、まずは単騎の4番車・新田選手がスタートで前を取りました。続いて7番車・平原選手を8番車・武田豊樹(茨城88期)選手がマークで、関東2車を形成。その後ろに単騎の2番車・浅井選手。その後ろには同じく単騎の6番車・清水選手が続いています。そして、後方で待機するのは3番車・脇本雄太選手率いる近畿4車の鉄壁ライン。脇本選手の後ろには1番車・三谷選手、その後ろには見守るように9番車・村上義選手、最後尾には兄の背中を目で追う5番車・村上博選手という並び。

記者会見で近畿4車の並びが発表されてから、数多くの競輪ファンの方々はあらゆる展開の推理をしたことだと思います。三谷選手が内枠の1番車ということは近畿4車が前受けになるだろうというのが大方の展開予想。そこでレースを崩しに行くのは誰なのか?平原選手なのか?清水選手なのか?あるいは浅井選手なのか?その際、脇本選手は引くのか?突っ張るのか?三谷選手が1番車を選択したことで、展開予想はさらに盛り上がったことは間違いありません。

少し話しはレースから離れますが。
競輪はスタートからゴールまで何が起こるか分からないドラマが展開され、ギャンブルの最後は競輪だ!と、昔から競馬、競艇、オートレースを楽しんだファンの方はそうおっしゃられます。そう、最後は人間!人間が自分の身体で自転車を走らせて操作し、そこに感情や思いも入ることで生き様も映し出されるところはまさに人生の縮図。競輪を知っていれば、人生を楽しみながら学ぶことができると、かつてはよく言われたものでした。
ただ、最近の風潮としては先頭で風を切り、後ろの人を勝たせるのは損!なんでそんな事をするの?度々、ファンの方々からそのような質問を受けます。それは先行する選手が自分の戦い方として最も得意なことをしているから。そして、強烈な向かい風の中、先頭で頑張ってくれている先行選手がいるからこそ後ろについたラインの選手は援護に回っているのです。私はそのように答えるようにしています。だけど、中には得意でもなさそうな選手が捨て身で先行する事もありますよね?という質問には、日本人でいう“粋”という言葉が当てはまるのではないかと説明。それは稀なことなので、たくさんのレースを観戦しているコアなファンの方々はそこまでも推理してしまう。競輪とは奥の深い人間の気持ちまで読み抜くゲーム。ですから、車券が当たった時は日常生活ではなかなか味わえない快感を得られるし、配当金もついてくる!そのように語り尽くせないくらい競輪の魅力を知っているファンの方々が数多くいらっしゃることに、現役選手を引退してからも感謝の気持ちでもいっぱいであります。

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