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2019/01/11

Shinichi Gokan

『SPIRIT OF BOSS』Vol.4

『SPIRIT OF BOSS』Vol.4

さて、話題をレース戻します。
周回を重ね、残り2周でウズウズしていたように6番車・清水選手が動きました。これによって他に動きがないかを確認しながら前受けの4番車・新田選手の横に並びます。グランプリ初出場で、清水選手のあの落ち着き、本当にこの先が末恐ろしいくらい楽しみな選手です。

新田選手は清水選手に抑えられたので後方へユックリ自転車を下げていきます。平原選手は脇本選手のスパートに合わせて猛アタック!スピードの合った位置を捌こうとしているようでした。しかし、打鐘で清水選手が先頭にいて、飛びつくと思いきや自転車を下げて4番手に入ろうとしたのです。平原選手は自転車を下げてきた清水選手が邪魔となり、飛びつくことができませんでした。この打鐘のタイミング、清水選手をかわして平原選手が先頭にいられなかったことが関東2車の敗因だと、私は思っています。また、その結果、最終第2センターで無理に内側に車輪を差して、落車という結果も招いてしまった。でも、自転車も壊れ、最後まで痛みに耐えてボロボロになりながらもゴールを目指した平原選手の姿からは感動と力を貰えました。

2着の浅井選手も後方8番手から落車を避けてよく伸びていました。あの浅井選手がバランスを崩しながらゴールしたことから、自分自身の力を出し切ったことが存分に伝わってきました。
3着の新田選手も8月以来の日本での競輪となる中、巧みに最後方から落車を避けながら捲り上げました。ゴール後に浅井選手がバランスを崩して、新田選手に接触した際も微動だにせず浅井選手を跳ね返したシーンから体幹の力が上がっていることも感じました。

村上義選手は不運の落車に終わりましたが、あの走りを見ると2019年もまだまだ活躍が期待できますし、弟の村上博選手も追い込み型が不遇の時代でも結果を出してくるところはさすがの一言です。

脇本選手の番手から優勝した三谷選手の年間獲得賞金額は2億5,000万円を超え、史上最高額となりました。本当におめでとうございます!はい、遂に登り詰めました、デビューからガムシャラに近畿勢を引っ張ってきた攻めるレースの積み重ねが実りましたね。

先行すれば「安全に!」・「力がつき!」・「恩が売れる!」、この成功の三拍子は私も現役中はやってきたことでもありますので、是非、若手選手には採り入れてもらいたいものです。
そして、最後に私から言えることは……今回のグランプリメンバーのみんなのことはデビュー当時からから見てきましたが、最初から強い選手なんて誰もいませんでした。ただ、レースを走る中で悔しさだったり、楽しさだったりを積み重ね、自分自身の糧にしてきたのです。そして、競輪に魅せられ、人生と魂の込め方が変わって来たことで強くなったのだと。

さぁ、今年の競輪界はどのようなドラマが生まれるのでしょうか?だいぶ気が早いですが、年末のKEIRINグランプリ2019(立川競輪場)も今から楽しみで仕方がありません。

【略歴】

後閑信一(ごかん・しんいち)

1970年5月2日生 群馬県前橋市出身
前橋育英高在学時から自転車競技で全国に名を轟かせる
京都国体においてスプリントで優勝するなどの実績を持つ
技能免除で競輪学校65期生入学
1990年4月に小倉競輪場でデビュー
G2共同通信社杯は2回(1996年・2001年)の優勝
2005年の競輪祭で悲願のG1タイトルを獲得
2006年には地元・前橋でのG1レース・寛仁親王牌も制した
その後、群馬から東京へ移籍
43歳にして2013年のオールスター競輪で7年ぶりのG1優勝
長きに渡り、トップレーサーとして競輪界に君臨
また、ボスの愛称で数多くの競輪ファンから愛された
最後の出走は2017年11月10日のいわき平F1
年末の12月27日に引退を発表
2018年1月に京王閣、立川、前橋でそれぞれ引退セレモニーが行われた
現役通算2158走551勝
引退後は競輪評論家やタレントとして活躍中
長女・百合亜は元ガールズケイリン選手(102期)である

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