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2019/03/01

Sakura Kimihara

恋して競輪ハンター

恋して競輪ハンター

恋して競輪ハンター 31 Hunting

束の間の休日、近所へ散歩に出かけてみました。
家々の庭の梅の花が満開の時期を迎え、暖かな青空の下で匂い立っていて、とても散歩が楽しかったものです。雪が降った先月の終わりから僅か1ヶ月で、世間は確実に春に近づいていますね。寒くて縮こまっていた冬にも飽きてきた頃、今か、今かと、春を待ち遠しく思っています。

待ち遠しいことがもう一つ、それはある選手の勝利。実は先日の奈良記念で久しぶりに追いかけたくなる選手を見つけたのです。
白上翔(滋賀95期)選手、初日は京都の小笹隼人(京都105期)選手をマーク。タイミングが合わずに離れかけた瞬間もありましたが、シッカリ追い上げて、その後は番手でゴリゴリ仕事をして、捲り選手をブロック。結果、自身は4着でしたが小笹選手の逃げ切りをアシストしました。
2日目は単騎8番車で内へ、内へと、切り込み、先行ラインの番手を捌く姿が印象的。
3日目こそライン共倒れでしたが、4日目には人気ラインの3番手を死守。見せ場が盛りだくさんでした。
奈良競輪場の333mバンクは展開一つで見せ場が全くなくなってしまうことも少なくないと思います。ましてや白上選手は追込選手ゆえに、ライン戦の競争では前を走る自力選手にチャンスを左右される部分もあるでしょう。今回は近畿の自力選手が積極的に動く選手だったというのもあると思いますが、番手の時も、3番手の時も。そして、単騎の時も着としての結果は残らなかったですが、必ず何か見せてくれました。

この“何か見せる”って、車券を買っている側からすると非常に大事なことだと思うのです。競輪はギャンブル、3連単だったら、504分の1を当てる訳ですから、期待を裏切られることなんて日常茶飯事。期待しては裏切られ、時々、当たっては再び裏切られ……裏切られ続けても、また、次のレースになぜ人は挑むのか?恋して競輪ハンターとして、これを恋愛に例えるならば、別れることになったけれども、この人を愛して良かったな、素敵な恋だったなと、思う女心と似ている気がします。
「あーぁ、つまんない男に引っかかって時間を無駄にしちゃったわ」程度はまだマシですが、「どうして上手くいかなかったんだろう。私の何がいけなかったの?分からない……こんなにツライ想いをするくらいだったら、恋なんてしなきゃよかった!」なんて思った日には最悪ですよね(苦笑)。こんな風にモヤモヤ引きずっていると、いつまでも前に進めず、そのせいで新しい出逢いを逃してしまうとも言われています。だから、どんな恋もケリをつけて終わりたい、納得できたからこそ前に進める。
つまり(だいぶ強引に話題を戻しますが)、レース中に“何か見せてくれること”は……着に残らずとも、車券は外れても、車券を買った側に“納得感”をくれるのです。そして、その“何か”を糸口に、その選手がどんな風に考えて動き、どうしてこのような結果になったのかを理解し始める。そうすると競輪がまた、チョット面白くなる。で、次のレースに挑戦してみたくなる。そうやって繋がっていくのではないかと、私は思っています。
白上選手の奈良記念は結果としては4着・6着・8着・4着でしたが、その走りは車券を買った私を納得させてくれて、次に繋がる楽しみを存分に与えてくれました。また、どこかで(次の白上選手の斡旋は3月11日からの名古屋F1)出逢えた時、今度の恋(=車券)は実ると良いなと、願わずにはいられません。

春を目前に、私の脳内がお花畑になっているなぁと、呆れられた読者の方もいるかも知れません。私もここまで書きながら、結構、小っ恥ずかしい気持ちも抱いております(苦笑)。でも、恋して競輪ハンターですもの。この春も競輪場で、たくさんの恋に落ちていきたいと思いますっ!

【略歴】

木三原さくら(きみはら・さくら)

1989年3月28日生 岐阜県出身

2013年夏に松戸競輪場で
ニコニコ生放送チャリチャンのアシスタントとして競輪デビュー
以降、松戸競輪や平塚競輪のF1、F2を中心に
競輪を自腹購入しながら学んでいく
番組内では「競輪狂」と、呼ばれることもあるほど競輪にドはまり
好きな選手のタイプは徹底先行
好きな買い方は初手から展開を考えて、1着固定のフォーメーション
“おいしいワイド”を探すことも楽しみにしている

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