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2019/03/13

Sakura Kimihara

恋して競輪ハンター

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恋して競輪ハンター 32 Hunthig

春も近しと、浮かれていたら……流行りから少しばかり遅れてのインフルエンザになってしまいました。恐らく、中学生ぶりのインフルエンザ。この数年は高熱で苦しむこともほとんどなかった丈夫な身体のため、とても久しぶりに寝込みましたが、本当に辛いものですね。処方された薬を摂取(せっしゅ)した後はひたすら寝ていただけなのですが、起きるとまだ昼過ぎ。
「デイの最終レース間に合うな」と、思いながらも頭も身体も重く、改めて眠りに就く。そして、次に目を覚ますと時計の針は19時を指し示して数分といったところ。
「まだナイターもミッドも買えるなぁ」なんて思いながらも、スマホすら触る気力も起きずに無念の再々就寝。元気だったら、これからナイターも、ミッドナイトも楽しめる時間がタップリあるのに!そう思うと同時に、改めて健康の大切さを感じずにはいられませんでした。
「元気があるから車券が買えるっ!」
ほぼアントニオ猪木さんのオマージュですけれども(苦笑)。今回、体調を崩したことを機に、この言葉を肝に銘じて生きていこうと思った次第です。

この私のインフルエンザとは別に、一時はニュースでも連日のように、インフルエンザが全国的に猛威を振るっていることが報道されていました。競輪選手も例外ではなく、インフルエンザで欠場という知らせを何度となく耳にしました。
静岡G3を優勝した古性優作(大阪100期)選手も別府G1全日本選抜競輪後、インフルエンザにかかったそうです。静岡G3前にお話しを伺った時は「インフルエンザ明けは走ってみないと調子が分からない。負傷での欠場とは違うので……」と、語っていました。負傷と病気では調子の戻し方、感覚の戻し方も変わってくるようですね。
実際に初日(7着)は古性選手の状態は決して良くなかったようですが、さすがトップ選手。特選スタートというアドバンテージもあり、2日目(5着)、3日目(1着)と、徐々に修正して決勝まで勝ち上がりました。そして、決勝戦では近畿4車ラインの強みを活かして、見事に静岡G3連覇を成し遂げたのです。
と、ここまで客観的に書くのは簡単なことなので、敢えて私の本音を大きな声で言わせて下さい。

「たった4日間の開催中に修正して、優勝なんてできるものなの!????」

競輪界に携わるようになって、本当に驚かされることばかり。選手は私たちと同じ人類ではないのかも知れないとさえ思うことがあります。今回の古性選手の静岡G3優勝もそうですが、競輪選手の身体の強さを実感するエピソードは実にたくさん。
例えば、決勝戦を走り終えた選手が
「肋骨が折れているから、スタートでいけなくて……」
って、そもそも肋骨が折れているのに自転車に乗って、しかも決勝戦まで勝ち上がれるものなのか?
また、ある時には
「ズーッと、鎖骨にヒビが入っていて痛かったんですけど、この前の落車で折れたんですよ。それでむしろ楽になりました」
えっ、骨にヒビが入っているのに転んで、折れた方が楽になるって、どういうこと!?
また、前日に落車した追込選手が翌日のレースで、自ら捲りを打って快勝していたりなんてのは珍しいことではありません。
骨折の一つや二つなんて“どこ吹く風”で、レースで走るからには勝ちにいく。そんな発想は一般人にはできませんよね。仮にできるとするならば、少年漫画のヒーローくらいじゃないでしょうか。競輪選手はもしかして漫画の中からヒーローが飛びだしてきたのかな?あり得ない妄想をしてしまう程に、強靭(きょうじん)な肉体を持っていることに、ただただ感心するしかないです。

でも、当たり前という大前提で、やっぱり、競輪選手も私たちと同じで、負傷すれば、痛くて、痛くてたまらないはず。そして、漫画の世界とは違って、必ず最後には勝てるという訳でもありません。そして、その屈強な肉体は簡単に手に入るものでもないのです。
以前、落車したばかりの選手がまだ赤い大きな擦過傷が痛々しいのに、傷跡にパッドを貼って練習に励んでいる姿を見たことがあります。どんなに痛くても、傷の癒えないうちから次の戦いのために練習を重ねる。まさに血と汗のにじむその努力が強い身体と心を育てているのだと思います。

漫画のヒーローのように、私たちに夢を与えてくれる競輪選手。その裏に隠された努力を想像すると、金網越しにできる限りの声援を送らずにはいられません。目の前で繰り広げられる生身の激しい戦いはどんな漫画よりも大きな感動があり、私たちはドキドキ、ワクワクさせられるのですから!

【略歴】

木三原さくら(きみはら・さくら)

1989年3月28日生 岐阜県出身

2013年夏に松戸競輪場で
ニコニコ生放送チャリチャンのアシスタントとして競輪デビュー
以降、松戸競輪や平塚競輪のF1、F2を中心に
競輪を自腹購入しながら学んでいく
番組内では「競輪狂」と、呼ばれることもあるほど競輪にドはまり
好きな選手のタイプは徹底先行
好きな買い方は初手から展開を考えて、1着固定のフォーメーション
“おいしいワイド”を探すことも楽しみにしている

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