TOP > コラム > ナショナルチームの活躍に思うこと

コラム

一覧へ戻る

コラム

2019/04/02

Norikazu Iwai

ナショナルチームの活躍に思うこと

ナショナルチームの活躍に思うこと

水都と呼ばれる大垣で開かれたG2第3回ウイナーズカップ。大垣と言えば山田裕仁(岐阜61期・引退)、山口幸二(岐阜62期・引退)らの偉大なレーサーを生み出したバンクでもある。しかしながら最近は大垣の選手は……開会式で敢闘宣言をした山口富生(岐阜68期)あたりしか名前が出てこないのは少し寂しいことだ。

3回目が無事に終わったウイナーズカップだが、盛り上がりには欠けた感は否めない。だが、盛り上がりは別にして、売り上げ的には今回は合格ラインであろう。目標は70億円だったが、結果は69億1,438万6,600円。確かに目標には届かなかったにせよ大健闘。いや、成功と呼んでも良いのはないか。関係者も表向きは「目標に届いていない」と、言いながらも、内心は納得できる数字だと思っているはずだと。筆者は確信している。元々、目標金額を低く設定する流れはある中で、今回の数字は威張ることはできなくとも、堂々と胸を張れる金額であろう。

レースに目を向けると脇本雄太(福井94期)の圧勝。ガールズコレクションは小林優香(福岡106期)が力の違いを見せつけた。両者に共通しているのは2020東京五輪を目指すナショナルチームのメンバーであり、久しく国内での競輪から離れていたことだ。にも関わらず、他の選手を圧倒する強さを見せた。脇本は世界選手権終了後、夫人と豪州に旅行へ出かけていて、帰国はウィナーズカップ開催の直前だという。ナショナルチームの短距離ヘッドコーチであるブノワ・べトゥから「2〜3週間は自転車に乗らず、リフレッシュしろ」との指示が出ていたそうだ。小林にも同様の指示が出ており、競技用から競輪用の自転車に慣れるため、2週間足らずの準備期間であった。
このように“ぶっつけ本番”ではないが、限りなくそれに近い状態の選手がいとも簡単に勝ってしまう。この現実をナショナルチーム以外の選手がどう思うかである。調整なしの選手に負ける屈辱感を感じてくれているのだろうか?脇本、小林の力量があることは分かっている。それでも、今回のような背景であっても勝てない……これには1人の競輪ファンとしても納得がいかない部分がある。もう少しナショナルチーム以外の選手は抵抗できたのではないか?というのが本音だ。
発想の転換、視点を変えてみるのも良いかも知れない。ナショナルチームのトレーニングがここまで競輪で通用するならば、それ以外の選手たちもナショナルチーム流のトレーニングをしてみてはどうだろう?各々の考えや今までの積み重ねもあるだろうけれども、現実を見れば、男子も女子もナショナルチームの人間には敵わないのだから。

プロは結果が全てである。プロセスが評価されるのは成功したケースで当てはまるもの。結果を残せなければ、プロセスなど意味を持たないだろう。今、ナショナルチームのメンバーは結果でも、プロセスでも、キッチリ納得できるものを見せてくれている。現状でナショナルチームのメンバーに歯が立たないことが分かった以上は考えるべきなのだ。ナショナルチーム以外の選手たちを否定しているのではなく、奮起を促すという観点である。
今後、脇本や小林は一層、国内レースの参加に制限が出てくる。“鬼の居ぬ間に”勝つのではなく、堂々かつ互角に勝負できる姿を期待している。それが競輪のレベルアップつながるのだから。

ページの先頭へ

メニューを開く