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2019/05/31

Norikazu Iwai

『日本競輪選手養成所』に名称変更

『日本競輪選手養成所』に名称変更

5月から日本競輪学校が『日本競輪選手養成所』(略称=JIK)に名称を変えた。正直なところ名称にこだわりはないのだが、慣れ親しんだ学校という言葉がなくなることには少し寂しさを覚えた。まぁ、時間が経てば、それもなくなると思うが。
公営競技では地方競馬は『教養センター』で、ボートレースとオートレースは『養成所』という言葉を使っている。中央競馬だけは『JRA競馬学校』だ。

今さら名称を変える必要があるのか?と、思うのだが、それはそれでJKAに考えがあってのことだろう。それより注目を集めたのは規則の改革、その一つである髪形に関してはとても驚かされた。男子はミリ単位の丸刈りが鉄則だったものを「トレーニングに支障がない範囲なら」ということで、丸刈りでなくても良くなった。さすがに1970年代のロックスターやフォークグループのような長髪はダメだが、耳にかからない程度であれば、伸ばしても構わないらしい。現に入学式……いや、入所式(『入学式』から『入所式』に名称変更)にはそれらしい選手候補生(ここでも『生徒』から『選手候補生』に呼び方が変わった)が数人いたとか。だが、多くのマスコミに囲まれた2018年の平昌五輪フリースタイルスキーモーグル銅メダリストの原大智は「ここはこういう髪形でくるところ」と、これまでの学校生徒と変わらない丸刈りで入所式に臨んだそうだ。

JIKによれば“時代に沿った改革の一環”だそうだ。これと同じようなのが高校野球であろう。つい先日もテレビで高校球児の髪形がテーマとなっていた。中学まで野球をやっていたが、高校は坊主頭が嫌で野球を辞める生徒が多いという現実に、高校野球関係者は頭を悩ませている。ここで髪型に関して高野連が「丸刈りの強制は一切ない」という見解を出すなど、これから高校野球の丸刈りもなくなるのでは!?という流れになるとか、ならないとか。でも、あくまでも筆者の個人的な考えだが、本当に野球が好きであったり、甲子園を目指すのならば、髪形は関係ないだろう。野球が好きならそれだけで良いのではなかろうか?
全ての競技において一番、大事なことはその競技をどれだけ愛しているかに尽きると、筆者は思っている。今回の改革で果たして、入所希望者は増えるのだろうか?安易に入所希望者を増やすための策の一つだったら、違和感を覚えてしまう。

髪形以外では携帯電話の使用が認められた。認められたと言っても、2週間に1回ある外出時だけとのこと。疑問に思ったのが、養成所は携帯電話の使用だけでなく、持ち込みも禁止になっている。持ち込めない携帯電話を外出時には使えるとは、家族や知人が持ってきてくれるか、それこそ地元に家のある選手候補生しか使えないはずなのだが……。
その他、受験の回数、受験種目の変更。卒業に関わる試験などの回数なども変わった。気になったのが科学的トレーニングの導入だ。その道に詳しいライターによれば「今さらといった感じ」という答えが返ってきた。筆者はトレーニング機器などについては詳しくないので、突っ込んだことは書けないのだが、会見に臨んだライターによれば「えっ!?」と、思った報道陣が何人もいたそうだ。今回の改革、正直どこを向いているのか?少しばかり分かりにくい部分もある。来年に迫った東京五輪という言葉が何度となく繰り返されたが、それは養成所ではなく、本来は日本自転車競技連盟の仕事のはず。ただ、言えることはJKAがようやく重い腰を上げた、このままではダメだという気持ちが表に出たことは何よりの大きな収穫である。

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