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2019/08/05

Sakura Kimihara

恋して競輪ハンター

恋して競輪ハンター

恋して競輪ハンター 41 Hunting

先週、弥彦競輪場ではG3ふるさとカップが行われました。現地に足を運べませんでしたが、インターネット中継を観ていると、号砲前の僅かな静寂の中でセミの鳴き声が聞こえ、それがなんともノスタルジックで……偶然の産物かも知れませんけれども、夏を感じさせるステキな演出でした。

決勝戦を制したのは地元の諸橋愛(新潟79期)選手。地元記念3連覇でしたね!最後の気迫の追い込みはとてもシビレました。また、ゴール線を1着で通過した後、力強く何度も拳を握った姿は私の胸をさらに熱くさせたものです。

競輪選手のパフォーマンスはレース以外でも私たちファンの気持ちをさらに盛り上げてくれます。発走時のルーティーンも良いですが、特にゴール後のガッツポーズや両手を挙げてファンの声援に応える姿。もっと些細(ささい)なところではレース後に軽くペコっと、頭を下げる姿すら応援しているファンにとっては嬉しいものだと思います。
その中でも今回の諸橋選手のガッツポーズはとにかくステキでした。単純な喜びだけじゃない、様々な気持ちの葛藤(かっとう)をも想像させるガッツポーズだったからです。

私の中で、記憶に強く残るガッツポーズはこれで2つ目。もう1つは2016年、京王閣競輪場で行われたG3ゴールドカップレースを制した岡田征陽(東京85期)選手のガッツポーズです。そこか!と、思われた方もいらっしゃるかと思いますが、その日は1人で本場へ出向き、第3コーナー付近で、そのガッツポーズを目の当たりにすることができました。岡田選手は平原康多(埼玉87期)選手の捲りにマークし、ゴール前でかわしての優勝。ゴール後、静かなガッツポーズの拳を今でも鮮明に思い出せます。車券は確か平原選手から買っていたので撃沈でしたが(悪い記憶はうろ覚え)、それでも、あの岡田選手のガッツポーズに魅せられ、ホクホクと、温かい気持ちで家路に着いたことも覚えています。

ここまで書いて気付きましたが、私は派手なガッツポーズより、渋めのガッツポーズが好きなのかも知れません。ここからは完全に妄想ですが、渋めのガッツポーズには込み上げてくる喜びや、これまでの苦しみが報われた気持ちなど、溢れ出す様々な感情が入り混じっているのではないでしょうか。それを外に放出するのではなく、自分の中で確かめるべく「やったぞ……俺はやったんだ!」と、セリフやナレーションを入れたくなるような、そんな雰囲気を感じるのです。もちろん!選手のリアルな感情から発生するパフォーマンスはどれをとっても感動的です。喜びを前面に表す派手なガッツポーズから、控え目な中にも深い複雑な熱い気持ちを感じるガッツポーズ、それぞれにファンに伝わるものがあって、たまりませんね。
また、ゴール直後の表情や選手の仕草は後のレースダイジェストにはなかなか確認できない部分であります。だけど、選手の喜びがダイレクトに伝わってくるシーンだからこそ、生であっても、画面越しであっても、リアルタイムで感じる価値が跳ね上がるのではないでしょうか。

みなさんの中で、特に記憶に残っている選手のパフォーマンスはありますか?どの選手のどんなレースの後の姿が目に焼き付いていますか?そして、今日でも、明日でも、ある選手の心に突き刺さるパフォーマンスと巡り合えるかも知れませんね。

【略歴】

木三原さくら(きみはら・さくら)

1989年3月28日生 岐阜県出身

2013年夏に松戸競輪場で
ニコニコ生放送チャリチャンのアシスタントとして競輪デビュー
以降、松戸競輪や平塚競輪のF1、F2を中心に
競輪を自腹購入しながら学んでいく
番組内では「競輪狂」と、呼ばれることもあるほど競輪にドはまり
好きな選手のタイプは徹底先行
好きな買い方は初手から展開を考えて、1着固定のフォーメーション
“おいしいワイド”を探すことも楽しみにしている

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