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2019/08/06

Yuji Yamada

“帝王”山田裕仁の競輪哲学 Vol.53

“帝王”山田裕仁の競輪哲学 Vol.53

平成から令和へ、元号が変わると共に時代は激変していくのか???
明るい話題で盛り上がり、良い時代を迎えることができたと思える毎日ならば良いのですが……北朝鮮によるロケット発射訓練は以前にも増して頻繁になっているように思えるし、日韓関係の悪化は出口の見えない長期戦になるのではと、国民感情に不安ばかりを与える政治。「NHK受信料を踏み倒す!」と、平気で言える政治家も出てきましたが、所得の高低差がさらに広がり、低所得者が多いにも関わらず景気が良くなったと錯覚しているのか?現在も低所得者が受信料を払い続けている現状なのに一般国民も踏み倒せと、マスコミを通じて伝えているように感じてしまう。このような政治に嫌気が差して、投票率もどんどん減少していくのでしょう。
また、多数の犠牲者を出してしまう放火殺人事件が起こるという、ここでも暗い話題。 そして、連日、話題に上がる吉本興業問題。これは世間にお笑いを届けるはずの事務所がそこで働く人々(芸人・タレント)。そして、国民までも暗い気分にさせてしまっています。元々は闇営業に端を発して、反社会団体との繋がりが問題だったのに、企業としての体制に話題が転換されていて、芸人の待遇改善要求にまで発展。所属芸人たちの溜まりに溜まった不満がこのタイミングで爆発したのでしょうが、普段からのコミュニケーション不足が引き起こしたことも原因の一つとしてはあるのだと思います。以前、競輪界にも選手たちの不満が溜まり、意見交換をすることもなく……即、行動に移して、世間を騒がしてしまうという選手会問題がありました。これも普段からもう少し話し合える環境であれば起こらなかった問題ではなかったかと、内部にいる人間として見ていました。ただ、この吉本の問題と違うと思えるのは、これを機に企業側も色々な部分で見直しを図っているようですが、選手会問題は一体、何が不満なのか不鮮明。そして、その後、どのように改善されていっているのかもハッキリしていません。
芸能界であっても、競輪界であっても、暗い話題で世間を騒がすことは夢を売る商売としては決してプラスにならないはずなのですけれどもね。。。

今月はG1オールスター競輪が名古屋競輪場で開催されます。オールスター競輪はファン投票によって選出された選手が参加して、開催を盛り上げる大会です。言い換えるならばファンの多い選手が開催を盛り上げるということですし、これ以上ないというくらい豪華な参加メンバーでのレース。ですから、オールスター競輪での売り上げは今の競輪に対するファンの方々の評価だと、個人的には考えています。
今年度になり、記念競輪の売り上げは50億円を下回るのは当たり前のようになり、7月に入ると40億円を下回ってしまうのではないかという下降線。ミッドナイト開催の売り上げ好調に甘んじているのではなく、全ての関係者がこの状況に危機感を持って頑張らなくてはいけない時です。
オールスター競輪はナショナルチームに所属している選手も参加してきます。今、競輪界を席巻しつつある113期との新旧スピード対決にも興味があり、非常に楽しみの多い開催になるはずです。新ルールになっても近代競輪のスピード決着になるでしょうから、是非、ファンのみなさんには本場にて迫力溢れるスピード感を味わっていただきたいものであります。

今年も当たり前のように猛暑日が続きますが、この暑さはもう毎年のことで、特別なものではありません。選手のみなさんが意識すべきは練習時も当然のことながら開催参加中でも暑さ対策は万全に!ベストパフォーマンスを常に発揮することがファン獲得には一番の近道なのですから。

【略歴】

山田 裕仁

山田 裕仁(やまだ・ゆうじ)

1968年6月18日生 岐阜県大垣市出身
1988年5月に向日町競輪場でプロデビュー
競輪学校の同期で東の横綱・神山雄一郎(栃木61期)、西の横綱・吉岡稔真(福岡65期・引退)らと輪界をリード
“帝王”のニックネームで一時代を築いた
2002、2003年の日本選手権競輪(ダービー)連覇などG1タイトルは6つ
KEIRINグランプリ連覇を含む史上最多タイ3度の優勝など通算優勝110回
通算獲得賞金は19億1,782万5,099円。
2018年末、三谷竜生(奈良101期)に抜かれるまでは年間獲得最高賞金額=2億4,434万8,500円の記録を持っていた
自転車競技でも2001年のワールドカップ第3戦(イタリア)で銀メダルを獲得するなどの実績を残した
2014年5月に引退して、現在は競輪評論家として活躍中
また、競走馬のオーナーとしても知られる

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