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2019/10/23

Shinichi Gokan

『SPIRIT OF BOSS』Vol.13

『SPIRIT OF BOSS』Vol.13

同じく準決勝11レースではタイヤ差で4着と、惜敗という結果になってしまいましたが、佐藤慎太郎(福島78期)選手の最終4コーナーでの絶妙なコース取りと、それに負けていなかった浅井選手の冷静な走りには『日本の競輪』の醍醐味を感じました!
そして、準決勝10レースには大会前に「自分の力でKEIRINグランプリの権利を勝ち取りたい」と、コメントしていた松浦悠士(広島98期)選手が登場。力と技を兼ね備えた『今最もG1タイトルに近い男!』である松浦選手が同期・原田研太朗(徳島98期)選手をマーク。このレースに注目していた方も多かったことかと思われますけれども、原田選手は初手の位置取りから押さえるタイミングまで、日頃、あまり見られないレース運びでした。原田選手は内に包まれることを嫌い、レースを早目に動かそうと思ったのではないでしょうか?しかし、結局は勝負所で元の位置に戻ってしまい、松浦選手も仕掛けが遅れてコースがなくなり、両者とも準決勝敗退という結果に。

それでも、松浦選手は翌日の特別優秀11レースで、古性優作(大阪100期)選手、柴崎淳(三重91期)選手、和田真選手を相手に、残り2周の赤板から先行して、アッサリと、逃げ切ってしまいました。あの強さを見れば、見る程、準決勝が悔やまれます。次回からの松浦選手の走りに期待したいです。

そして、決勝です。メンバーは三谷選手―村上博選手の近畿勢、清水選手―中川選手―園田匠(福岡87期)選手の3車、小松崎大地(福島99期)選手―和田健太郎(千葉87期)選手の2車。そして、浅井選手と地元・群馬の木暮選手が単騎の競走となりました。
三谷選手は落車負傷による前半戦の出遅れが響いてしまい、タイトルを獲るしかKEIRINグランプリの出場権を得られないので、自身が勝ちにいくレースをしてくるのではないか?そうなると先行するのはライン3車の清水選手なのか?清水選手がスンナリ先行ならば番手絶好となる中川選手?そうなると3番手・園田選手の突っ込みまである?単騎の木暮選手の分断や浅井選手の一発強襲は?小松崎選手も何か仕掛けてくるはず!と、実に様々な推理が浮かんでくる非常に楽しみなメンバー構成となりました。
レースでは残り3周から清水選手が前団に上昇を開始すると、小松崎選手が中川選手の内側で粘り、単騎の木暮選手と浅井選手はその併走の後ろで仕掛けのタイミングを図ります。残り2周の赤板1コーナーから打鐘を目掛けて三谷選手が一気にカマしてスパート。清水選手は内側を締めながら走っていたことにより、スピードを立ち上げる際にパワーをロス。それでも、近畿勢を追った3番手に入り、最終バックから追いつく勢いで捲っていきましたが、脚力が回復せずに一息ついてしまいます。結果、三谷選手の番手からキッチリ差し切った村上博選手が自身3度目(4日制以上のシリーズ)となるG1制覇を達成しました。

度重なる怪我や苦難から何度も立ち上がり、諦めずに挑み続けた40歳の漢が流した涙を見て、私も胸が熱くなりました。これで年末のKEIRINグランプリは近畿から1人加わったので、現段階では脇本雄太(福井94期)選手の後位に、村上博選手がマークする近畿ラインのイメージが浮かんできます。

11月の小倉G1競輪祭まで、KEIRINグランプリの出場権争いから目が離せません!

【略歴】

後閑信一(ごかん・しんいち)

1970年5月2日生 群馬県前橋市出身
前橋育英高在学時から自転車競技で全国に名を轟かせる
京都国体においてスプリントで優勝するなどの実績を持つ
技能免除で競輪学校65期生入学
1990年4月に小倉競輪場でデビュー
G2共同通信社杯は2回(1996年・2001年)の優勝
2005年の競輪祭で悲願のG1タイトルを獲得
2006年には地元・前橋でのG1レース・寛仁親王牌も制した
その後、群馬から東京へ移籍
43歳にして2013年のオールスター競輪で7年ぶりのG1優勝
長きに渡り、トップレーサーとして競輪界に君臨
また、ボスの愛称で数多くの競輪ファンから愛された
最後の出走は2017年11月10日のいわき平F1
年末の12月27日に引退を発表
2018年1月に京王閣、立川、前橋でそれぞれ引退セレモニーが行われた
現役通算2158走551勝
引退後は競輪評論家やタレントとして活躍中
長女・百合亜は元ガールズケイリン選手(102期)である

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