TOP > コラム > 前代未聞

コラム

一覧へ戻る

コラム

2017/08/18

Perfecta編集部

前代未聞

前代未聞

地元・福島の渡邉一成が2度目のG1制覇を決めた第60回オールスター競輪(いわき平)。2011年の東日本大震災で、渡邉は故郷の双葉町から避難することに。最後まで避難区域に指定された被害の大きかった地区だけに、渡邉の想いは特別だ。そんな状況の中、地元開催のG1制覇は格別なものになったであろう。2着には同じく福島の新田祐大が入り、開催地としてもこれ以上ない最高かつ美しい決着になったはずである。
しかし、渡邉が美酒に酔いしれる数時間前に前代未聞の出来事が起こり、結果的には両手を挙げての地元勢のワンツー・フィニッシュに水を差す。
既に新聞などで報道されているように、あろうことか周回を表すボード(周回板)を間違えてしまった。本来は残り1周の「1」と表示されなければいけないところを「2」のまま。直前に周回板付近で落車があって、その落車した選手の救護があったため、担当者がパニックになってしまったようだ。過去にもそういった例はあったらしいが、この時代にしては極めて珍しいことである。
結局、レースは不成立で2億円以上の売り上げは全額返還。あってはいけないことだが、迅速な対応だったので場内で暴動が起こるといったことはなかった。ここで筆者が疑問に思ったのは、競走不成立になった瞬間、どうしてレースを止めなかったのか?ということである。警鐘を鳴らして、レース中の選手に知らせたようだが、落車した選手以外の8人は最後まで力を抜かずにゴールした。捲り上げた選手を先行選手がブロックするなど、最後まで見応えがあるレースであった。だが、冷静に考えれば、もうレースは不成立になっていたのだ。その中での激しい攻防で落車があったらどうするのか?選手は警鐘に気付けば、競走を中止するだろう。最後まで選手がゴールラインを全力で駆け抜けたのは警鐘に気付いていなかった証拠だろう。今後の課題として、もっと不成立が分かるようにしないと、ファンは離れてしまう。1度、競輪場から足が遠のいてしまえば戻ってこないだろう。

今回、車券を握りしめて的中したファンは大喜びも束の間……終わってみればレース不成立では泣くに泣けない。また、外れ車券を捨ててしまったファンも数多くいたと、聞いている。
法律(公営競技ゆえ)に則り不成立にした。それは当たり前のことだろう。だが、過去には法律に触れているのに成立してしまったケースもあった。約20年近く前、某競輪場で残り1周半の合図である「打鐘」が残り2周半で1回鳴らされた。今でもYouTubeでその映像が残っていて見ることができる。何度も見返したが、確かに鐘の音は聞こえた。しかし、そのままレースは続行、成立した。
その映像を見る限り、納得いかないファンの怒声が聞こえる。当時、どういった理由でレースが続行されたのかは定かでない。ただ、証拠の映像が残ってしまっている以上、隠し通せないのではないだろうか。その点、いわき平競輪場の今回の判断は、ファンに迷惑はかけたが、毅然(きぜん)としていたと感じた。
今回のケースで一番迷惑をしたのはファンだが、選手も同様である。競走が成立していない状況で走らされた8人に幸いケガはなかったが、本当に面食らったことであろう。賞金の分配や競走得点にも影響があり、実際に選手たちからは「今回、どうなるんですか?」と、疑問の声が真っ先に出た。
今後、関係団体はどのような対策を立てるのか?大事なのは同じ失敗を繰り返さないことである。
今月から車券を分かりやすく当てやすいようにと、S級ブロックセブンというレースが行われるようになった。このブロックセブンも然り、あらゆる面でルールを整備して、ファンはもちろんのこと選手の誰もが理解できるものにするべきであろう。そういう努力を怠ってはならない。

Text/Norikazu Iwai
Photo/Perfecta Navi・Joe Shimajiri

ページの先頭へ

メニューを開く