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2019/12/12

Norikazu Iwai

『サテライト名古屋』休止

『サテライト名古屋』休止

遂に競輪業界もここまで__そう思わせる出来事が11月29日に起こった。競輪場もいつどこが廃場になるか分からないという時代ではあるが、会員制場外車券売場の『サテライト名古屋』が車券の発売を休止した。競輪だけではなく、オートレースの場外発売所でもある『オートレース名古屋』もだ。業界の人間に話しを聞いたところ、発表があったのは29日の22時前で既に早刷りの新聞は出回っている。実際にはどうだったか定かではないが、休止の報のない新聞を読んで、ファンが『サテライト名古屋』に車券を買いに足を運んだかも知れない。いずれにせよ、その時間の発表自体、ファンを馬鹿にしていると、言わざるを得ないのではないだろうか。

会員制の場外車券売場は東京の『ラ・ピスタ新橋』、神奈川の『サテライト横浜』、大阪の『サテライト大阪』、福岡の『サテライト中州』。そして、名古屋を含めて全国で5場あった。会員制というだけあって、入会審査があり、施設自体もラ・ピスタ新橋に代表されるように清潔感があった。行き届いたサービスで、心地良く車券が買えるような工夫がなされていた。筆者も複数場の会員である。当初、会員になることは、勝手ながら、一種のステータスだと思っていた。会費を払うか、払わないかの違いではあるが、それでも優越感を覚えていた。

『サテライト名古屋』は2006年10月23日、中部地区初の会員制場外車券売場としてオープン。日本でも有数の歓楽街である『栄』で、立地条件は申し分なく、どうして休止になってしまったのか?未だ理解に苦しんでいる。愛知県には競輪の他、ボートレース場、競馬場があり、お隣の静岡にはオートレース場もある。その中で競輪とオートレースの場外だけがなぜ休止に追い込まれたのか?簡単に言ってしまえば魅力がないからであろう。魅力がないから足を運ばない。足を運んで貰えなければ売り上げが伸びない。売り上げが伸びなければ商売として成り立たない。至って自然な流れだと考える。

ハッキリした理由は公にはされていないが……恐らく、いや、間違いなく「黒字にならない、収益が見込めない」からだろう。ホームページを見ると「営業体制が整うまで、当面の間、当施設の営業を休止させていただきます」とある。営業体制とは一体、何のことなのか?営業体制が整えば再開するのか?いずれにせよ会員制場外車券売場が1つ消えたことに変わりはない。

この状況を受け、競輪、オートレースを統括する団体であるJKAは何か手を打つことができたのだろうか?サテライトは関係ないと思う人間がいたとしたら、この業界は救いようがない。大都市の会員制場外車券売場がこのような状況に陥ったことについて検証チームを作るなり、何らかのアクションを起こすべきであろう。11月のG1競輪祭が終わり、さあKEIRINグランプリ2019だといった矢先の出来事にどう向き合っていけるかだ。そして、何よりも今回のケースで言及すべきは発表時間についてだ。ファンを一体、何だと思っているのか。こんなことでは一層、ファンが競輪から離れていくのは仕方のないことであろう。サテライトの次は本場、そんなことにならないようにJKAにはシッカリ対策を練っていただきたい。

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