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2020/01/23

Yuji Yamada

“帝王”山田裕仁の競輪哲学 Vol.63

“帝王”山田裕仁の競輪哲学 Vol.63

新年、早々に飛び込んできたビックリする事件や事故は映画化できるような話題でした。最近では護送中の被告に脱走され、甘い態勢が指摘されていた日本でしたが、今度は仮釈放中の容疑者に国外脱出されるというまさかの大失態。そして、容疑者の居場所が特定できているのにも関わらず、捕まえて、引き戻させることもできないという誰もが苛立つ、納得がいかない現状です。
国際ルールの下、このような状況になっているのですが、これはどこの世界でも同じようで、競輪界にも同じように納得がいかないルールはありますよね……。ルールだから仕方がないのか?ルールを変えることは難しいと思いますが、変える努力をしていくべきなのか?賛否両論の意見が出ると思うので、これに結論を出すのは、難しいです。
そして、事故と言えば、国際ランキング1位の選手が死傷事故に巻き込まれるというショッキングな出来事がありました。この選手は4年前のオリンピック直前にも違法カジノ店に立ち入り、無期限出場停止処分を受け、オリンピックに出場できなかったという過去があります。オリンピック出場がこれほど難しいことなのかと、痛感していることでしょう。「運も実力のうち」とはよく言いますが、栄光の影には本当に運も必要なのでしょう__。はい、無事を祈るばかりです。

昨年末のKEIRINグランプリ2019の余韻がまだ残る中、競輪選手にはシーズンオフがないために、もう今年のKEIRINグランプリ2020出場へ向けた戦いが始まっています。

新年一発目の立川記念では、清水裕友(山口105期)選手が連覇して、幸先の良いスタートを切りました。初日こそ吉田拓矢(茨城107期)選手の先行に対して、8番手からのホームカマシにいったところを平原康多(埼玉87期)選手の番手捲りに合わされて8着に。ですが、決勝では逆に、佐々木豪(愛媛109期)選手の先行を利して、番手捲りで優勝を決めました。昨年はこの後、落車で鎖骨骨折をして、調子を落としたので、今年はこのままケガなく順調にいって貰いたいですね。

続く和歌山記念では、松浦悠士(広島98期)選手が4日間、自力での勝負でした。初日は先行で着外に沈みましたが、残りの3日間は見事な捲りを見せていました。1着を獲れたのは最終日のみでしたが、この4日間の走りを見ただけでも今年もタイトルを狙える勢いがあると、感じられました。

また、このシリーズは今年、グランプリチャンピオンジャージを着る佐藤慎太郎(福島78期)選手も参加していましたが、残念ながら未勝利でした。グランプリ優勝後は挨拶回りなどで何かと忙しく、調整に苦労したことかと思います。今開催は決勝進出したことを最低限のノルマのクリアとして、これからのレースはチャンピオンジャージのプライドを持った戦いと結果を望みたいです。

大宮記念では、平原康多(埼玉87期)選手が3年ぶり7回目となる地元記念を優勝しました。平原選手の動きは年末からの連戦で、少し疲れが出てきている感じも見受けられたことからも『地元だから絶対優勝するだろう』という迫力は感じませんでした。ただ、その中でもキッチリ優勝していくというのが超一流の証です。悪い時は悪いなりの戦いで、優勝争いすることがS級S班には求められるところでもありますから。関東地区は若手も徐々に力をつけてきているので、今年の平原選手は番手戦で上位争いしていきそうです。

今年は昨年の記念競輪と異なり、S級S班の選手が貫禄を示すというシリーズで始まりました。1年は終わってみれば、アッ!と、瞬く間ですが、選手にとっては年末の大一番に向けて、長い戦いが続いていくことでしょう。色々なことがあると思いますが、選手のみなさんにはケガのないように頑張っていただきたいです。

【略歴】

山田 裕仁

山田 裕仁(やまだ・ゆうじ)

1968年6月18日生 岐阜県大垣市出身
1988年5月に向日町競輪場でプロデビュー
競輪学校の同期で東の横綱・神山雄一郎(栃木61期)、西の横綱・吉岡稔真(福岡65期・引退)らと輪界をリード
“帝王”のニックネームで一時代を築いた
2002、2003年の日本選手権競輪(ダービー)連覇などG1タイトルは6つ
KEIRINグランプリ連覇を含む史上最多タイ3度の優勝など通算優勝110回
通算獲得賞金は19億1,782万5,099円。
2018年末、三谷竜生(奈良101期)に抜かれるまでは年間獲得最高賞金額=2億4,434万8,500円の記録を持っていた
自転車競技でも2001年のワールドカップ第3戦(イタリア)で銀メダルを獲得するなどの実績を残した
2014年5月に引退して、現在は競輪評論家として活躍中
また、競走馬のオーナーとしても知られる

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