TOP > コラム > 恋して競輪ハンター

コラム

一覧へ戻る

コラム

2020/04/03

Sakura Kimihara

恋して競輪ハンター

恋して競輪ハンター

恋して競輪ハンター 57 Hunting

3月26日から4日間、福井競輪場でG2ウィナーズカップが開催されました。今回で第4回目となる新しいG2です。選考基準の一つに「1着回数の多い選手」という項目がある影響していて、例年、若い自力選手が多く出場し、若手の登竜門的G2になってきていると、感じます。それぞれの脚力を活かして、1着を量産してきた若手選手が初めてのビッグレースでどんな戦いをするのか?力と力のぶつかり合い、そんなレースを楽しんだファンも多かったのではないでしょうか。
4日間のレースを観て、思ったことはレースを走るうえでの『判断力』の重要さです。高速でバンクを駆けながら、自分が勝つために最善の方法を判断する。それができる選手の強さを感じるレースがいくつもありました。

以前、とある選手へ、レース後に「なぜ、こう動かなかったのか?」という道中での動きについて、疑問をぶつけたことがあります。その時、その選手から「お客さんはカメラで映された映像かた俯瞰(ふかん)でレースを観ることができるけど、走っている選手の視野は限られていて、9人の動きをすべて把握できている訳じゃない。時速50km以上のスピードを出しながら、目に見える情報から瞬時に判断して走ることって、結構、難しいんだよ」と、教えてくれたことがありました。
言われてみれば「そりゃ、そうだ!」なのですが、私にとっては目からうろこ。例えが適切かどうかは分かりませんけれども、自動車の運転中に前にも後ろにも車がいるとして、サイドミラーやバックミラーがない状態で、速度を落とさずに車線変更するようなものでしょうか!?確かに、そんなことは不可能に等しい(だからこそミラーがついている訳ですし)でしょう。

これに気づかなかったのは……そんな走りをトップ選手たちはいとも簡単に(見えるように)やってのけるからではないでしょうか。誰にでもできるのかと言えば、きっとそうではないはず。天性のセンスや実戦で積み上げてきた経験。そして、競輪に対するひたむきな研究があるのかも知れません。
また、判断力があっても、脚力も伴わなければ意味がありません。日々の練習、努力が相まって、トップ選手の判断力は作られているのだと、感じました。
そのような脚力と判断力の両方を持ち合わせた選手が魅力的なのはもちろんですが、不器用な選手に決して魅力がない訳ではありません。先行一本、捲り一本、たった一つの武器を磨いて、トップまで昇り詰めようとしている。時としてその武器は敵の策略に、展開に、いとも簡単に折られてしまいます。それでも、また一から脚力を磨いて、前よりも強くなって、レースに出場してくる姿には愛しさすら覚えます。
自力選手が多い分、器用な選手、不器用な選手など、選手の個性が顕著に表れた気がする今回のG2ウィナーズカップ。どの選手にも魅力を感じる4日間でした。ここでの経験が若い選手をどう変えていくのか、これからの戦いが楽しみです!

【略歴】

木三原さくら(きみはら・さくら)

1989年3月28日生 岐阜県出身

2013年夏に松戸競輪場で
ニコニコ生放送チャリチャンのアシスタントとして競輪デビュー
以降、松戸競輪や平塚競輪のF1、F2を中心に
競輪を自腹購入しながら学んでいく
番組内では「競輪狂」と、呼ばれることもあるほど競輪にドはまり
好きな選手のタイプは徹底先行
好きな買い方は初手から展開を考えて、1着固定のフォーメーション
“おいしいワイド”を探すことも楽しみにしている

ページの先頭へ

メニューを開く