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2020/06/17

Norikazu Iwai

高松宮記念杯競輪

高松宮記念杯競輪

2月の全日本選抜競輪以来のG1レースが6月18日から始まる。第71回高松宮記念杯(和歌山競輪場)だ。同競輪場では過去にG2開催はあったが、G1開催は初めてである。高松宮記念杯はズーッと、滋賀・大津びわこ競輪場で行われていた。東西対抗という特殊な勝ち上がりは、それはそれで楽しめるもの。そして、ドラマという点でもこの大会は多かった。中野浩一(福岡35期・引退)が唯一、手にできなかったのが高松宮杯記念杯。引退の年、怒濤(どとう)の捲りを見せるも、滝澤正光(千葉43期・引退)の前に屈し、準優勝。2004年には優勝した松本整(京都45期・引退)が共同インタビュー会場で引退を宣言。2年後には内林久徳(滋賀62期・引退)が引退。そして、2011年には大津びわこ競輪場は廃場となった。それも東日本大震災当日が初日で、残り2日は中止という形での幕引き。

その後は持ち回りで高松宮記念杯を存続させていたが、最近は岸和田競輪場で行われるのが慣例に。今年は岸和田競輪場がバンク改修ということで、和歌山で開催される。日本選手権競輪が中止になり、当初はこの大会もどうなるか分からなかった。そのような中で選手はモチベーションを保って、この日を待ち続けていた。果たして最高の状態で戦えるか?という不安こそあるが、久しぶりのG1ということで大会は盛り上がるだろう。

この開催に関して拍手を送りたいのは和歌山県の判断だ。G1開催となれば……選手は関係者、報道陣も含めると200人以上が越境してくる。日本選手権が中止になった最大の理由は越境問題だと、記憶している。緊急事態宣言が解除され、以前の日常に少しずつ戻りつつあると言っても、新型コロナウイルスは終息していないのが現実だ。その中で開催を決めたのは英断であろう。

大成功に終わることを祈るが、一つだけ注文をつけたい。ここ最近は移動の問題で同地区斡旋(3地区に分けることがナンセンスなのは既に書いたが)になっている。正直、観ていて面白くない、どうしても勘ぐってしまう。普段は連携している仲間がいきなり敵になる。ブロック一つを取っても優しく見えてしまうのは筆者だけだろうか?もちろん、激しくブロックしている選手もいるのだけれども。その流れもあるところ、この大会は東西対抗戦になっている。食傷気味とまでは言わないが、似たような組み合わせは飽きているかも知れない。だからこそ番組を作る番組編成員はファン目線も忘れず、構成を決めて貰いたいものだ。例えば、中部と近畿は一緒のレースにせず、近畿対九州とか、中部対中四国みたいな。少なくとも中部・近畿で連携できるような構成だけにはして欲しくないのだ。これは中・四国にも言えることである。直前まで別線で凌ぎを削ってきた者同士が宮杯では仲良く連携するのでは、直前の競走が何だったと思われても仕方ないのではないか?そうは言っても、元々の地区割りが杓子定規(しゃくしじょうぎ)過ぎたための弊害とも言える。

場外車券売り場もほぼ再開するようになった。ネットと電話投票だけだったのが、場外発売もあるとすれば売上は良くなって当然だ。仮にそれでも売り上げが悪かったら、それは中央団体の責任になる。今後の業界を考える意味でも他のG1とは違った大会になるであろう。

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