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2020/09/30

Norikazu Iwai

インターハイ代替大会

インターハイ代替大会

延期された東京五輪の後はパリ(2024年)、ロス(2028年)と、続く。恐らく、新田祐大(福島90期)、脇本雄太(福井94期)も東京が最後になるだろう。東京もまだなのに、もう次かという意見もあるだろうが、強豪国は当然のように若手育成に着手している。育成と言うよりは当然のように、パリやロスを見据えている。日本も新山響平(青森107期)、松井宏佑(神奈川113期)らが力をつけてきているので、楽しみではあるし、今回、代表から漏れた深谷知広(愛知96期)の動向も気掛かりだ。

しかし、聞こえてくるのはこのようにプロ選手の話題ばかりだ。高校生や大学生、まさにパリやロスを目指す次世代の話題が全くと言って構わないくらいに出てこない。いずれ競輪選手の道を歩むとしても、現状を少しは知っておきたいところだ。ご存知だろうか?9月11日〜13日の3日間、向日町競輪場でインターハイの代替大会が行われた。代替大会とは言うものの、高体連が主催ではないので、正式な大会ではない。自転車だけでなく、各競技は形を変え、代替大会的なものを行ってきた。新型コロナウイルスの影響で、高校最後の大会すら出られずに引退しなければならない高校3年生にとってはこれ以上ない朗報になった。この大会には全国から200人を越える高校生が集まり、3日間、高校生活の全てを懸けて熱戦を繰り広げた。この中から将来の五輪メダリストが出るかも知れないと、注目していた。残念ながら感染拡大防止の観点から関係者、父兄以外の観戦は認められなかった。それでも、各種目の優勝者や入賞者はチェックできた。

だが、この大会を報道したメディアがあまりにも少なかった。「高体連の主催ではないので」というのは正論かも知れないが、少しくらいは触れても良いのではなかろうか?自転車競技がマイナーだからなのか!?注目度はほぼゼロに近かった。しかしながら、果たして、これで良いのだろうか?最終日には村上義弘(京都73期)と深谷知広が来場し、それぞれ『村上義弘賞』と『深谷知広賞』も授与された。高校卒業後__進学、競輪選手を目指す、自転車は高校までと決めているなど、参加者はそれぞれだろうが、良き思い出になったことは間違いない。それでも、メディアの反応は薄かった。
一部のスポーツ紙が掲載はしていたみたいだが、スポーツ面ではなく俗に言うギャンブル面。高校生の大会をギャンブル面に掲載するというのは違和感を拭えない。深谷は高校生の将来、いや、日本自転車界のことを思い、忙しい中でも足を運んだ。村上にしても地元だからではなく、深谷と同様な気持ちがあってのことであろう。

アマチュアの大会である以上、日本自転車競技連盟がマスコミ対応を含め、積極的に動いても良かったと、感じている。各団体の思惑、高体連に対する気遣いがあったとも受け取れるが、将来の五輪候補生に対して、興味がなかったのか?それともプロの競輪選手だけに重きを置いているのか疑問だ。大会の概要を見てみると、主催は日本サイクルスポーツ振興会と日本自転車競技連盟になっている。日本自転車競技連盟は言わずと知れた、自転車競技のトップ団体である。東京五輪だけではなく、次、さらにその次を見据えた運営をしていただきたかった。今後、このような大会があった場合は日本自転車競技連盟がもっと表に出て、広報戦略などを行うのがベターなように思われる。

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