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2022/03/14

古性優作

古性優作の「KOSHOW TIME!」Vol.8

古性優作の「KOSHOW TIME!」Vol.8

みなさん、こんにちは。競輪選手の大阪100期、古性優作です。
2月に今年最初のG1、全日本選抜競輪を優勝することができました。KEIRINグランプリに続いて、これもみなさんの応援のおかげだと思っています。本当にありがとうございました! これからも応援していただけるように、頑張りたいと思います!

◆今年最初のG1開催◆
今回の全日本選抜競輪を迎えるまで、実はコンディショニングが思った以上に上がっていきませんでした。直前の練習でケガをしてしまったこともあり、最後の最後で状態を上がり切らせることができず、少し不安を抱えたままの参戦となりました。ケガをしたことよりも、ケガをしたことによる「脳の問題」の方が大きかったです。ケガの箇所を気にして、本気で出力することが怖くなる感覚になると、バランスを崩す要因になっていしまいます。そこが一番のネックだったので、全日本選抜競輪に向けて、できる範囲で仕上げていった感じでした。
初日が終わった時点で、自転車の進み自体はそこまで良くはなかったのですが、思っていたよりも違和感だけで済んでいたので、意外にいけるのかな?とは感じていました。ただ、やっぱり怖がっている感覚もあり、不安要素は抱えたまま。そこで、準決勝からは「いつもと同じ感覚」で自転車に乗るしかない。そう切り替えて走りました。これは意識の問題で、気になる箇所を使わないように、探りながら乗った感じです。もちろん、要所では怖くてどうしようもない部分はあったのですが、とても難しいことだったので、心の中では「耐えてくれ」と思っていました。

◆決勝を振り返って◆
レースは、思ったよりも動きがなく、想定外の展開。途中で前を切りに行こうかは、すごく考えました。打鐘から太田竜馬君が踏んだ時に、すごい出脚だったので車間があいて、最初は全然追いつかなく、2コーナーで仕掛けられる感覚ではなかったです。でも、この速度域でも新田祐大さんは来ましたし、松浦悠士君もきれいについているように見えたので、一緒に走っていて、周りとの力の差はすごく感じました。自分の中では、新田さんよりも先に仕掛けたい理想があったのですが、太田君の出脚で、自分も脚力を使い切っている感じもあって、仕掛けることができなかった……。そこが今後の課題ですね。
最終4コーナーでの判断ですが、前の松浦君が外に自転車をはずす挙動をしていたので、最後はそこを目掛けて、内のコースに入った感じでした。松浦君は自転車の乗り方が上手な選手です。上手な選手には乗り方の挙動があって、それが早い段階でパッと見えたので、絶対に内があくと、とっさの判断でした。
ゴールして、自分の優勝は確信しました。でも、今回の優勝は全然、内容的にも気持ちの良い優勝では無かったです。

◆今年の目標◆
昨年は初めてKEIRINグランプリに出ることができて、初めてS級S班になることもできました。このS級S班のレーサーパンツは2年連続で履きたいと思っていたので、1回目のG1で決められたことには、ホッとした気持ちでいます。先ほども書いたように、レース内容には全く満足できていませんが……。
今年最初のコラムでは、「G1優勝」を今年の目標に書きました。次の目標は「日本選手権競輪」です。日本選手権競輪は「日本一」の称号でもありますし、それを獲りたい気持ちがあります。このユニホームを着ているからこそ、その気持ちは、さらに強くなっていると思います。S級S班、グランプリのチャンピオンユニホームを着ているので、責任感を持ってしっかり走らないといけません。でも、脚力は全く変わっていません。それでも期待はいつも以上にされるので、最初はしんどく感じていましたが、それも1月の和歌山記念まで。今はいつも通りにレースを走れていると思います。

◆今、追い求めているもの◆
いつも通りにレースに臨んで、常に理想としているのは「力を出し切ること」です。自分の中でイメージしているスタイルは、どのようなレースでも「ここだ!」と思ったところで、しっかりと仕掛けて、自分の力を一滴残らず出し切るレース。そんなレースをすることができれば、どのような形であれ、納得できると思っています。ただ、そのスタイルを目標にはしているのですが、今、足りないものは「全部」。基本的にはタテ脚ですが、全部が足りていません。というのも、自分の理想のレースには、限界がないと思っているからです。G1を勝って、グランプリも勝って、さらに何段階もステップを上がっていたとしても、きっと「もっと、できるのではないか?」と感じてしまうと思います。色々なことを取り入れて、数値やデータを蓄積して、1日、1日を繰り返し練習する。そうやって練習から自分を客観視しながら、理想を追い求めていくしかないと思っています。

◆脇本雄太の復帰◆
それと、2月の奈良記念から脇本雄太さんが復帰しました! 一緒に走って思ったことは、脇本さんが走るだけで、お客さんの盛り上がりが凄いということ。脇本さんが復帰したことで、競輪界は間違いなく盛り上がっていくと思っています。脇本さんとはいつもけっこう会話するのですが、今回の奈良でも「車を買った方がいいんちゃう?」と言われたり(笑)、真剣なトレーニングの話を聞いたり、いろいろな話をしました。脇本さんがいる、それだけで近畿勢は盛り上がります。
若い選手がたくさん出てきている他の地区に比べると、今の近畿地区は層が薄いのかなとは感じてはいますが、自分も危機感をもって、さらに盛り上げていけるように、これからも走りたいと思っています!

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【過去のコラムはこちら】
古性優作選手コラム「KOSHOW TIME!」
Vol.7「グランプリ覇者として」
Vol.6「初のグランプリへ!」
Vol.5「強くあり続けるために」
Vol.4「オールスター優勝報告」
Vol.3「オールスターに向けて」
Vol.2「福井G3優勝しました!」
Vol.1「地元G1で一番の景色を」

【略歴】

古性優作(こしょう・ゆうさく)

1991年2月22日生 大阪府出身

2006年から2008年までの3年連続で全日本BMX選手権大会を優勝。
2011年7月に第100期生として岸和田競輪場でデビュー。2014年11月松戸競輪場でS級初優勝すると、2016年12月には地元の岸和田記念でG3初優勝。さらに2021年7月の福井記念で通算6回目のG3優勝。そして8月のオールスター競輪で念願のG1初優勝。KEIRINグランプリ2021では初出場・初制覇の快挙を達成した。22年2月には全日本選抜競輪で2度目のG1タイトルを獲得。あらゆる展開に対応する変幻自在の走りが魅力。

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