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2022/07/05

木三原さくら

恋して競輪ハンター

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木三原さくら「恋して競輪ハンター」112 Hunting

6月は、せかせかと働いていました。大人になって、忙しいということがどれだけありがたいことかと考えます。フリーランス、個人事業主という立場もあって、暇よりずっと忙しい方がいい。忙しければ、目の前の仕事に向きあうのみで、他でどんな悲しいことがあっても考えないようにできる。考えないようにしていれば、いつの間にか、辛かった気持ちが和らいでいる__。良いか、悪いか、幸か、不幸かは置いておいて、大人になるとは、こういうことなのかなと考えたりもします。まあ、もういい大人なんですけどね。

ただ、目を背けただけで、過去がなくなるわけではありません。いつかは、その事実と向き合わなければならない時がきます。
あるレースが終わってから1週間、忙しさにかまけて、考えないようにしてきました。目のレースに気持ちを注いで、いつか忘れるときがくるだろうと、そう思って過ごしてきました。しかし、頭の片隅に、ずっとそれはあるのです__。

高松宮記念杯決勝ゴール

高松宮記念杯競輪決勝。優勝は大阪の古性優作選手。今年2つ目のG1タイトル獲得となりました。2着に山田庸平選手、3着に園田匠選手が入線。3連単は9万円台という高配当決着になりました。
私はチャリ・ロトの高松宮記念杯特設サイトに決勝の狙い目を出していましたが、2着の山田選手を抜いたため、3連単を外しました。古性選手の捲りに続くのが九州勢なら、という展開を予想していたにも関わらず……。
抜いた理由は、色々あります。仮に古性選手に続けたとしても、佐藤慎太郎選手、成田和也選手の横は、すんなり通り抜けられないだろう。その位置を取るためには、脚力の消耗もあるだろう。などなど考えて、山田選手の後ろの荒井崇博選手や園田選手を狙ったわけなのですが、結果を見て、さらに配当の額を見て、「なぜ切ってしまったのか」と、後悔しました。
ちょうどその時は、『喜喜IPPATSU』の放送に出演中。京王閣のレースを見ながらも、頭の中は、高松宮記念杯決勝の結果のことばかり考えてしまい、上の空。解説の林雄一さんに話かけられて、ハッと我に返って、「話、聞いてないでしょ~!」とツッコまれてしまいました。それからは、「これではいかん!」と自分を律するため、振り返ることもなく、目の前のレースに向き合って過ごしてきました。

そうして、先日。決勝のダイジェストを、改めて見ました。普通なら何度も見返すG1決勝を、ここまで見返さず過ごしたのは初めて。小松崎大地選手の仕掛け、郡司浩平選手と佐藤慎太郎選手、諸橋愛選手と成田和也選手の攻防、古性優作選手の捲りのスピード、それに乗る山田庸平選手。選手たちの動きひとつひとつに納得して、ようやく自分の気持ちに整理をつけ、私の高松宮記念杯競輪が終わりました。
決勝戦から10日、競輪人生で一番諦めの悪い車券でした(苦笑)。

もし、「わかるよ、そういうことあるよね」と、慰めてくれる殿方がいたら、一生添い遂げたいくらいの気持ちで、そんな優しい言葉を待っていましたが、あいにく(?)幸いにも(?)、私の周りには、「山田はいるでしょ~」とか「それより3着園田が~」と、競輪談義に花を咲かせてくれる競輪仲間ばかり。
ギャンブルは孤独なものと分かりつつも、今回ばかりは、少しぬくもりを求めてしまいましたね。しかし、そんな気持ちを乗り越え、またひとつ強くなった私で、この先の車券街道を突き進みたいと思います!

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【恋して競輪ハンター・過去コラム】
111Hunting「日野未来の松戸優勝」
110Hunting「後悔のない車券購入を」
109Hunting「広島でコイコイマスター」
108Hunting「策士・小川真太郎」
107Hunting「競輪に恋して」
106Hunting「レースと重なる人生模様」
105Hunting「負けてる時の打開策」
104Hunting「繋がっていく玉野競輪」
103Hunting「おかえりワッキー」
102Hunting「面倒な客」

【略歴】

木三原さくら(きみはら・さくら)

1989年3月28日生 岐阜県出身

2013年夏に松戸競輪場で
ニコニコ生放送チャリチャンのアシスタントとして競輪デビュー。
以降、松戸競輪や平塚競輪のF1、F2を中心に競輪を自腹購入しながら学んでいく。
番組内では「競輪狂」と、呼ばれることもあるほど競輪にドはまり。
好きな選手のタイプは徹底先行!
好きな買い方は初手から展開を考えて、1着固定のフォーメーション。
“おいしいワイド”を探すことも楽しみにしている。

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