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2023/03/30

岩井範一

ウィナーズカップ回顧

ウィナーズカップ回顧

2月の全日本選抜競輪G1に続き行われたビッグレース「第7回ウィナーズカップG2」は、広島の松浦悠士が落ち着いたレース運びを見せて優勝した。決勝に勝ち上がったメンバーは、新山響平に新田祐大、守澤太志の東北勢。嘉永泰斗に山田庸平の九州勢、松浦には福田知也。そして、近畿勢は古性優作が前で、脇本雄太が番手を回る布陣。
やはり驚いたのは近畿の並びだろう。古性は自在なタイプの選手で、決して徹底先行タイプではない。脇本はご存知の通りの先行。例えば、松浦と清水裕友、平原康多と武田豊樹の前後が入れ替わるのとは、意味が違うと思っている。今開催の脇本は完調ではなかった。腰の影響があるのは分かっているが、それでも準決勝までの3走は前で戦っていた。もちろん、選手それぞれの言い分はあるだろうが、違和感を覚えたのは筆者だけではないだろう。

古性優作と脇本雄太
ウィナーズカップ決勝。近畿ラインは古性、脇本で連携

準決勝が終わった夜、多くの知人から連絡があった。「古性が前なら、逃げて脇本に花を持たせる」が圧倒的だった。しかし、筆者は、100%それはないと確信していた。たとえ古性が逃げて、番手からの差しで勝っても、脇本は嬉しくないはず。結果的に、古性の捲りに付いていっての2着だったのだが、このレース展開しかないだろうとは想定できていた。難しい判断だとは思うが、古性が前の並びは、近畿の後輩たちへのメッセージだとも取れるだろう。今後、2人の並びは、また同じようになることがあるかもしれない。しかし、それはやはり体調面が大きなウェートを占めているからだろう。5月の日本選手権競輪G1まで、脇本にはしっかり体調を整えて、先頭で頑張ってもらいたい。優勝した松浦に関しては今年に入り、体調不良など思うような結果を残せていなかったが、これで吹っ切れただろう。

また、最終日に同時開催されたガールズケイリンコレクション2023別府ステージは、期待していた小林優香が準優勝。勝ったのは佐藤水菜だった。打鐘過ぎに車を前にだし、そのまま逃げ切り。2番手には児玉碧衣、3番手に小林がいての逃げ切りは、圧巻だった。ネット中継で見ていたが、児玉、小林の位置を考えれば、逃げ切るのは無理だと思っていた。筆者は小林頭で勝負していたから、児玉が捲ってくれて、小林が差すだけだと力が入っていた。ところが児玉は伸びず、小林も中を突っ込んでの2着。佐藤の強さだけが際立ったレースだった。

佐藤水菜
圧倒的な強さを見せた佐藤水菜

今回のウィナーズカップ売り上げは、まさかの目標86億円を下回る、75億2861万7700円。前年の宇都宮より約10億円も低かった。昨年の全体売り上げが1兆円を超えたと喜んでいた関係者は、これをどう捉えるか。競輪業界の売り上げは、昨年こそ伸びたが、他の公営競技も伸びている。新型コロナウイルスが収束傾向にある今、俗に言う「巣ごもり」が少なくなり、外に出て楽しむ選択肢が元に戻ったからだろう。以前にも書いたが、売り上げ以上に重要なのは入場人員だと考える。ファンが集まる競輪場は今後も楽しみだが、入場者数が減っている競輪場は、しっかりとした対策を立てないと、きつい状況になるだろう。

Text/Norikazu Iwai

Photo/Perfecta navi編集部

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