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2023/04/12

岩井範一

売り上げ1兆円を回復

売り上げ1兆円を回復

2022年度の競輪の総車券売上高がJKAより、このほど発表された。1兆907億7929万200円(250競走を含む)。20年ぶりに1兆円を超えたとのこと。この話題は、すでに多くの媒体で取り上げられているので、知っている方は多いだろう。ちなみに、地方競馬は1兆703億5968万3860円。わずかではあるが、競輪業界が上回った。

20年ぶりの1兆円超えで、関係者は沸きに沸いているだろう。しかし、喜んでいるのは中央団体だけという話が聞こえてきた(もちろん、中央団体でも手放しで喜べない人もいるが)。逆に、現場の競輪場関係者(施行者)は危機感を強く持ったところが多い。売り上げの大幅な増加は、新型コロナウイルスの影響による「巣ごもり」での、ネット投票とミッドナイト競輪によるものが大きい(ミッドナイト競輪に関しては、コロナ以前から売り上げの中心を占めていた)。
ただ、昨年の春以降、新型コロナウイルスは収束の傾向を見せ始め、市中には多くの人の姿が見られるようになった。加えて、全国旅行支援などもあり、久しぶりの開放感を味わう人や家族が増えた。家族で旅行に出掛けるとなると、親もそう簡単にスマホを片手に投票はできない(できる人もいるとは思うが)。これは、競輪が低迷し始めた頃に、似ていると考える。レジャーの多様化が叫ばれ、その選択肢が増えた時期から、売り上げは下降線を辿ってきた。コロナウイルスが緩やかになり、外に出て遊ぶことが増えれば、売り上げに直結すると思う。要するに、2022年度は1兆円を超えたが、23年度こそが勝負になるわけである。

3月中旬からは、マスク着用は本人の判断になった。筆者の周りでも、半数以上はマスクを外している。そういう筆者も、電車や飛行機にに乗るとき以外は、マスクを外している。桜並木を歩きながら、その匂いを嗅ぐ幸福を噛みしめている。こうなってくると、競輪場で生観戦をする人が減少するのではないかと考えている。これまで何度も指摘してきたが、いかに競輪場に来てもらえるかが、課題なのだ。イベントを見ていても、ここ数年は、ワンパターンな気がしてならない。記念やグレードレースに行く度に、そう感じる。
キッチンカーを呼ぶのもいいだろう。しかし、個人的な意見ではあるが、キッチンカーに並んでいて、酷い目にあったことがある。筆者の3、4人前で材料(在庫)がなくなり、販売中止になったのだ。貴重な時間を費やして並んでいたのに、納得がいかなかった。売り主である以上、並んでいる人達に「あと何人分です」などのアナウンスがあって然るべきだろう。もちろん、全部がそうではないが、こういった話は、仲間からも何度も聞いた。些細(ささい)なことかもしれないが、こういう目にあえば、そこへはもう行かなくなるかもしれない。これが、ましてや家族連れなら、なおさらだ。
勝負の年だからこそ、小さいことからもう一度、見つめ直してもらいたいものだ。

最後に。悲しい知らせが飛び込んできた。3月30日、福井の野原雅也さんが亡くなった。村上義弘、脇本雄太の系譜を引き継ぐ逸材だっただけに、残念でならない。ファンとしては、先行も競りもできる柔軟なレース運びは忘れられない。早すぎる死は涙が止まらない。ご冥福をお祈りいたします。

Text/Norikazu Iwai

Photo/Perfecta navi編集部

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