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2023/11/03

木三原さくら

恋して競輪ハンター

恋して競輪ハンター

木三原さくら「恋して競輪ハンター」144 Hunting

高知の都築巧選手が、10月26日から行われた小松島ミッドナイト競輪で完全優勝を達成し、見事にA級2班への特別昇班を決めました。
前走の玉野ナイター競輪から、都築選手の走りを連続で見てきました。3日間、先行はなく、内に包まれたところを捌いての捲りや、同期の番手マークから抜け出して、という「新人らしからぬ」走りで、玉野でも完全優勝を決めていました。
その走りに対して、YouTubeでコメントの多いこと。賞賛や応援はもちろん、「上に行ったら通用しない」というような厳しい言葉も含めて、都築選手の走りに注目しているコメントが多数、流れていきました。

都築巧
都築巧選手

ルーキーのレースを見ていると、先行や捲りといった、いわゆる自力でのレースをすることが、新人選手の王道として多くのファンの中に認識されているのを感じます。もっと言えば、ラインを連れて行くしかけをすること、これこそ絶対!という人もいますよね。都築選手は、そういった王道のレースではないですが、デビューから自分のスタイルを貫いている姿に、すでに多くのファンがいるのだなあと感じました。
玉野でその節を解説していた元競輪選手の西谷康彦さんは、「俺もデビューしたあと、先行2回くらいしかしてへんねん」と都築選手の走りを見ながら、話してくださいました。1977年に23歳でデビューし、自在な走りや競りで活躍してきた西谷さん。時代と共にレースが変化し、自力選手が花形となっている中で、都築選手の走りにご自身の若かりし頃を重ねていたのかもしれません。レースをこれからも見てるからな、その走り貫け、と優勝インタビューで西谷さん節のエールを送っていました。

そうして迎えた、今回の小松島ミッドナイト競輪。初日は3番手の位置を取り、2コーナーから捲り。準決勝は同期の番手でワンツーを決めて、順調に勝ち上がってきました。
「特別昇班は意識していない」と、ご本人がコメントする中、見ているこちらは、もちろん意識せずにはいられません。
決勝戦は、準決勝同様に、同期の番手を主張するレースでしたが、そこは競り。自力でも十分な脚力がある中で、強い自力選手の番手で競るというスタイルを貫くところが、都築選手らしさなのでしょう。しかも、その同期の半田誠選手が「後ろが競りですか、僕としては走りやすくなった」というコメントしていて、さらに想像が膨らみます。カマシや捲りの展開なら都築選手がかわせなくて、特別昇班ならずという結果もあるのかなあと、放送前にみんなで話したりもしました。

発走前から、普段の新人選手の特別昇班がかかったレース以上に、わくわくさせられた、この決勝戦。都築選手は1周カマした半田誠選手の番手をしっかり取り切り、ゴール前とらえて完全優勝を決めました。その走りは、終始、冷静に見え、特別昇班のかかるレースなのに余裕すら感じさせられました。

しかし、ゴール後、漆黒の夜空に高々と上がった右腕。無観客のミッドナイト競輪で、歓声もない中、何度も突き上げられるその拳に、走りの余裕さとは違う猛々しさを感じ、一気に私は都築選手のファンに。
次回、クラスをひとつあげて、どんな走りを見せてくれるのか。唯一無二の都築選手らしい走りを、ここから追いかけていきたいです!

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【恋して競輪ハンター・過去コラム】
143Hunting「私たちのオールガールズクラシック」
142Hunting「オールガールズクラシックG1を終えて」
141Hunting「本命選手にかかるプレッシャー」
140Hunting「競輪は初手」
139Hunting「追いかける優勝車券」
138Hunting「S級ミッドナイト」
137Hunting「何でもできる強さ」
136Hunting「J.Y&K.W」
135Hunting「若手だけどの面白さ」
134Hunting「ルーキーシリーズを見て」

【略歴】

木三原さくら(きみはら・さくら)

1989年3月28日生 岐阜県出身

2013年夏に松戸競輪場で
ニコニコ生放送チャリチャンのアシスタントとして競輪デビュー。
以降、松戸競輪や平塚競輪のF1、F2を中心に競輪を自腹購入しながら学んでいく。
番組内では「競輪狂」と、呼ばれることもあるほど競輪にドはまり。
好きな選手のタイプは徹底先行!
好きな買い方は初手から展開を考えて、1着固定のフォーメーション。
“おいしいワイド”を探すことも楽しみにしている。

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