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2017/12/14

Yuji Yamada

“帝王”山田裕仁の競輪哲学 Vol.13

“帝王”山田裕仁の競輪哲学 Vol.13

師走のニュース

年の瀬も近くなって師走だなと、感じることが多くなりましたね。
なぜだか年末になると喜ばしくない物騒な事件が増えてくるような気がしてなりません。また、今年は大寒波で例年を上回る厳冬らしいので、身も心も縮こまっているのは私だけでしょうか?
しかし、野球界では大谷翔平選手の北海道日本ハムからロサンゼルス・エンゼルスへのポスティング移籍。将棋・羽生善治永世七冠と囲碁・井山裕太棋聖へ国民栄誉賞授与の検討というのは、明るい話題と言えるでしょう。
その中でも食傷気味なのは相撲協会の件で、いつまでもテレビをはじめ、マスコミ各社がダラダラ取り挙げているような気がしてなりません。10人いれば10人なりの考えがあると思います。あくまでも私の考えですけれども、格闘技の世界に場外乱闘があったら暴力になるんでしょうか?
相撲は張り手、あるいは体ごとぶつかっていく競技だから、一般の人間が想像できないくらいに打撃は強いと思います。ごく一般の人間が「暴力がどうこう」と、とらえる感覚が違うのではないでしょうか?
酒の席で手を上げたということが一番の問題であって、シラフであれば稽古と何ら変わらなかったようにも思えてしまうのです。
この騒動は真実を知らないうちに、周りがあれこれ騒ぎ立て過ぎたゆえの騒動であるような気がします。それと同時に、やっぱり、噂話というものは恐ろしいものだなぁと、痛感しています。

“横綱の品格” という言葉も理解に苦しむものです。品格って?品格がなければ横綱になれないらしいのですが、50連勝しても横綱にはなれないのだろうか?ということは、現役時代の私は絶対に競輪界の横綱にはなれていないですね(苦笑)。史上最強の“大関レーサー”と、呼ばれるのも私らしかったかも知れないですが。
現役の頃はプロである以上、結果が全てだという考えでした。周りの人に何を言われようが、とにかく結果重視。はい、勝つことが一番のファンサービスだというのが信条でありました。勝てば自分も潤うっ!私の車券を買っていただいた方々も潤うじゃないかっ!綺麗事を並び立てるよりも、結果を出せばいいんじゃないかという愚直なもの。だから、品格という言葉は私には付いてこなかったんじゃないかなと思っています。
ちなみに今となって、現役時代に貫いてきた信条が正しかったのか?は正直なところ自信はないですし、本当のファンサービスとは果たして何が正解なのか?を模索中。ですから“ファンあっての競輪”__よく耳にする言葉だと思いますが、本当にファンが喜ぶこと、それが何であるかを個々に考えてみてもいい機会ではなかったのかと思う騒動だと、私なりに受け止めています。

政治の世界では公文書管理についての話題が気になりました。 私は現役時代、何度も税務調査に入られましたよ。一般人には帳簿や領収書の保管など厳しく指導する割に、国のトップがこれでは本当に説得力がないですよね。(今なら面と向かって、そう言い返せる自分がいるようで恐ろしいですが)
そして、もう一つは非常に残念なことに、私の後輩(元オリンピック選手・元競輪選手)がニュースになる事件を犯し、世間を騒がせてしまいました……。
これらのことを見ても、どこの世界もトップに立つ人というのは良くも悪くも表舞台に立たされるということです。競輪選手に品格という言葉はピンときませんが、他人から後ろ指差される生き方はしないように日々の行動には気をつけていきたいものですね。

2018年に向けて明るい話題を提供できるように、現役こそ退きましたが、競輪界に関わる一人としてグランプリシリーズも盛り上げていきたいと思います!!

【略歴】

山田 裕仁

山田 裕仁(やまだ・ゆうじ)

1968年6月18日生 岐阜県大垣市出身
1988年5月に向日町競輪場でプロデビュー
競輪学校の同期で東の横綱・神山雄一郎(栃木61期)、西の横綱・吉岡稔真(福岡65期・引退)らと輪界をリード
“帝王”のニックネームで一時代を築いた
2002、2003年の日本選手権競輪(ダービー)連覇などG1タイトルは6つ
KEIRINグランプリ連覇を含む史上最多タイ3度の優勝など通算優勝110回
通算獲得賞金は19億1,782万5,099円。
2002年に記録した年間最高賞金2億4,434万8,500円はいまだに破られていない
自転車競技でも2001年のワールドカップ第3戦(イタリア)で銀メダルを獲得するなどの実績を残した
2014年5月に引退して、現在は競輪評論家として活躍中
また、競走馬のオーナーとしても知られる

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