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2022/05/07

P-Navi編集部

JCL開幕戦!カンセキ真岡芳賀ロードレース

JCL開幕戦!カンセキ真岡芳賀ロードレース

一般社団法人ジャパンサイクルリーグ(以下、JCL)が主催する自転車ロードレー ス「三菱地所 JCL プロロードレースツアー2022」の開幕戦となる「カンセキ真岡芳賀ロードレース」が4月16日、真岡井頭公園周辺での特設周回コースにて開催された。リーグ初年度の昨年に続き、レースへの盛り上がりが高い栃木県で、開幕戦を迎えることになった。


春の真岡で開催された「カンセキ真岡芳賀ロードレース」

真岡井頭公園東側に設定された1周7.2kmの特設コースは、長い登りが少なく、コース難易度は高くないものの、選手の動きに展開が左右される。勝ちを狙いにいくチームは、綿密な事前ミーティングを重ね、無線でのコミュニケーションにも重点を置いた。


有観客レースとして開催され、多くの観客が春の観戦を楽しんだ

今年より国内のもう一つのプロリーグであるJBCF(日本全日本実業団連盟)と、それぞれの昨年の優勝チーム同士が互いのリーグに交流として出場することになっており、このレースにもJBCFのJプロツアーよりマトリックスパワータグ所属の2名の選手が参戦していた。コロナ禍が落ち着き、今年より海外籍の選手が加わる見通しのチームも、すでに合流しているチームもある。リーグ開幕戦ということもあり、チームの連携状態や選手のコンディションを伺うという意味でも、重要なレースになった。


黄色の那須ブラーゼンと赤色の宇都宮ブリッツェン、栃木の2チームを先頭にレースがスタート

1周7.2kmのコースを18周する129.6kmのレースは昼過ぎにスタート。先頭には、地元の宇都宮ブリッツェン、那須ブラーゼンのメンバーが並ぶ。
パレード走行区間を経てリアルスタートが切られると、各チームから集団から抜け出し、集団を形成するべく激しいアタックがかけられた。
逃げ切りを目指し、実力者たちが動き続け、レースはハイスピードに。今年、レバンテフジ静岡に加入したモンゴルライダーのバトムンク・マラルエルデンなど、新加入のメンバーも積極的に動き、存在感を示した。

激しい争いの末に4周目にバトムンクの逃げ(先行)に、谷順成(那須ブラーゼン)、小石祐馬(Team UKYO SAGAMIHARA)が追随、さらには熟練の「逃げ職人」とも呼ばれる阿部嵩之(宇都宮ブリッツェン)が加わり4名の集団が形成された。力のあるメンバーが揃った、強力な集団だ。


先頭4名を追う集団が生まれ、協調してペースアップを図った

メイン集団からは、この逃げ集団に選手を入れられなかったチームや、この動きを嫌ったチームが追走を繰り出す。新城雄大やトマ・ルバ(キナンレーシングチーム)、西尾憲人(那須ブラーゼン)、孫崎大樹(スパークルおおいたレーシングチーム)らの集団が生まれ、その後方に、宇都宮ブリッツェン、キナンレーシングチームという強豪2チームがコントロールするメイン集団が控える構図になった。
追走集団からは数名がドロップアウトし、最終的に新城、西尾、宇賀隆貴(Team UKYO SAGAMIHARA)、新加入のオーストラリア人ライアン・カバナ(ヴィクトワール広島)の4名が最前方の4名に合流した。

レースが10周目に差し掛かるころ、先頭8名とメイン集団との差が一気に2分まで開いた。メイン集団の前方には、宇都宮ブリッツェン、キナンレーシングチームに加え、スプリンターで構成されたスパークルおおいたレーシングチームも上がってきた。実力のある選手が揃い、十分逃げ切る可能性もある先頭集団とメイン集団とは2分のタイム差をキープ。


逃げ続ける先頭集団


メイン集団は人数を絞り込みながら一定のタイム差で先頭集団を追う

ラスト5周に入ると、地元でなんとしても勝利を飾りたい宇都宮ブリッツェン、昨年の優勝者を擁するキナンレーシングチームがペースアップ、メイン集団の強力な牽引を始めた。力を使ってきた先頭8名にも変化が見えてくる。逃げ切りたい選手と、メインに合流し、スプリントに長けたメンバーに託す判断を受けた選手と、思惑が異なるからだ。当然、逃げ集団内の協調は難しく、ペースが鈍り、同時に遅れる選手も出始めた。


ラスト5周、メイン集団がペースアップし、本格的に先頭を追い始めた

逃げ集団は人数を減らし、もともと抜け出したメンバーの4名のみになっていたが、最終周回に入り、増田成幸(宇都宮ブリッツェン)やトマ・ルバ(キナンレーシングチーム)が先頭に立ち、ペースアップしたメイン集団が4名を吸収。このペースアップでメイン集団からも選手たちがふるい落とされており、14名の集団となった。

この集団内に宇都宮ブリッツェンは増田、小野寺、宮崎と逃げていた阿部の4名を残しており、有利な展開に。さらにはキナンレーシングチームからは3名、那須ブラーゼン、Team UKYO SAGAMIHARAから2名ずつが入る。序盤から逃げていた4名は、この時点で仕事が終わったように見えたが、さっそく動いたのは、逃げに乗っていた小石だった。


逃げた小石を追う集団

この小石の動きに機敏に反応したのは、増田と小野寺(ともに宇都宮ブリッツェン)だった。なおも振り切ろうとする小石を増田がマークし、2名が先行する。


小石祐馬(Team UKYO SAGAMIHARA)のアタックに、反応した増田成幸、小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)、畑中勇介(キナンレーシングチーム)と4名の集団を作った。この後、渡邊諒馬(VC福岡)が合流

この2名を追って、畑中が飛び出すと、小野寺が後ろにピタリと付く。この2名と渡邊諒馬(VC福岡)が合流し、先頭は5名になった。メイン集団とはタイム差が開き、勝負の行方はこの5人に絞り込まれる。この中では、スプリンターの小野寺を残し、さらに東京五輪日本代表の増田も機能している宇都宮ブリッツェンが、メンバー的にも、数的にも圧倒的に有利な状況だ。

ラスト500m、増田が仕掛けた。これを追ったのは畑中。後ろに小野寺がふたたびピタリと付き、増田を追う畑中が小野寺をゴールに連れて行かざるを得ない形になった。ゴール前、小野寺が飛び出し、増田をもかわすと、ポーズをつけてフィニッシュラインに飛び込む。


畑中の背後から飛び出した小野寺が、増田と並びフィニッシュに駆け込む


歓喜のポーズでフィニッシュする小野寺。全力で追い抜かれた先輩の増田は思わず笑う

有観客開催が叶い、地元開催で駆けつけた多くの宇都宮ブリッツェンサポーターの目の前で、見事に1-2フィニッシュを飾ったのだった。

表彰式に臨んだ小野寺は、チームウェアで赤く染まった観客の前に立ち「数年勝ちたくて勝てなかったロードレース」に地元開催で、多くのファンの前で勝つことができ「すごく嬉しい」と喜びを語った。
最終スプリントを担う選手として、前半から中盤にかけてチームメイトにかなり助けてもらったため、「勝たなければ」という責任感を感じていた、と振り返る。途中ローテーションにも加わったが、集団内で足を休めることができ、スプリントに備えることができたという。


表彰台の小野寺、増田、畑中。地元の特産品も副賞として登場した

表彰台で、増田は「最後は(小野寺が)譲ってくれるかな、とも思っていたんですが、鍛えまくった後輩にやられるっていうレースでした」とユーモアたっぷりに語り、会場で笑いを誘っていた。この日の最大の功労者である先輩に勝利を譲ることができないほど、小野寺にとって「勝ちたかった」ロードレースだったようだ。

この翌日は小野寺がもっとも得意とするクリテリウムが予定されていた。さらに宇都宮クリテリウムは、JBCFの枠組みで開催されてきた初回から4連覇を達成してきた。「明日も地元開催、クリテリウムということで、優勝を狙っていきます」と締めくくった。


小野寺がイエロージャージ、ブルージャージを獲得

通年で競う各カテゴリーの首位を示す「リーダー」は、総合首位、スプリント首位を小野寺が獲得、その証であるイエローとブルーのジャージを獲得した。ヤングライダーの首位は、最終局面でも存在感を見せた渡邊が獲得、ホワイトジャージを手に入れた。

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【結果】JCLプロロードレースツアー2022
カンセキ真岡芳賀ロードレース

1位/小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)2:59’52”
2位/増田成幸(宇都宮ブリッツェン)st
3位/畑中勇介(キナンレーシングチーム)st
4位/小石祐馬(Team UKYO SAGAMIHARA)+0’03”
5位/渡邊諒馬(VC福岡)+0’04”

【JCL各賞リーダージャージ表彰】
イエロージャージ(個人ランキングトップ)小野寺玲 (宇都宮ブリッツェン)
ブルージャージ(スプリント賞)小野寺玲 (宇都宮ブリッツェン)
ホワイトジャージ(新人賞) 渡邊諒馬 (VC福岡)

【地元特別賞】
ベストアシストライダー賞 宮崎泰史 (宇都宮ブリッツェン)
ベストホープフルライダー賞 渡邊諒馬(VC福岡)
ベストアグレッシブライダー 小石祐馬(Team UKYO SAGAMIHARA)

画像:三菱地所JCLプロロードレースツアー(株式会社ジャパンサイクルリーグ)

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