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2023/06/23

P-Navi編集部

ツアー・オブ・ジャパン2023最終ステージ

ツアー・オブ・ジャパン2023最終ステージ

ツアー・オブ・ジャパン 2023は5月28日、東京でいよいよ最終日を迎えた。東京ステージは毎回恒例、⼤井埠頭周回コースで開催され、超⾼速レースとなる。ここまで7日間、600km以上を走ってきた選手は、この東京の地でフィナーレを迎える。会場には多くの観客が足を運び、好天に恵まれたコースは、朝から熱気に包まれていた。

ツアー・オブ・ジャパン2023最終ステージ
東京・大井埠頭周回コースで最終ステージを開催した

使用する⼤井埠頭周回コースは完全フラットのスピードコース。両側の車線を使用して開催するため、観客たちは何度も選手たちの隊列を見ることができ、観戦にも人気の高いレースだ。平坦で道幅も広く、大集団のスプリント勝負に持ち込まれることが多く、この日も、スプリンターたちが力を見せつけるパワフルなレースになることが予想された。7kmの周回を16周する112kmの設定で競われた。

ツアー・オブ・ジャパン2023最終ステージ

ツアー・オブ・ジャパン2023最終ステージ
完全平坦の大井埠頭周回コース

個人総合優勝争いは、連覇を狙うネイサン・アール(JCLチーム右京)が、45秒のアドバンテージで首位を走る。総合では1分差以内に3名がひしめいているが、45秒差を覆すような展開になることは稀であり、チームも全力でこのタイム差を守りながら走るだろう。
ブルージャージの個人総合ポイント賞争いも、首位のルーク・ランパーティ(トリニティレーシング)と次点の岡篤志(JCLチーム右京)の差は11ポイント。レース中に3回のホットスポットが設定され、1位通過した選手に5ポイントが与えられる。またフィニッシュの順位についても、1位には25ポイントが与えられるため、最大で40ポイントを獲得でき
る計算となり、逆転の可能性はまだ残っている。

ツアー・オブ・ジャパン2023最終ステージ
出走前のスタートサインをする選手たち

ツアー・オブ・ジャパン2023最終ステージ
スタート前にはパレード走行が開催された

スタートラインには、個人総合首位のアール、ポイント賞首位のランパーティ、新人賞首位のリアム・ジョンストン(トリニティレーシング)、前日に山岳賞を決めたレオネル・キンテロ・アルテアガ(ヴィクトワール広島)が4賞ジャージのリーダーとして最前列に並ぶ。


ここまでリーダージャージを守ってきた4名の選手が最前列に並ぶ

ツアー・オブ・ジャパン2023最終ステージ
タイムボードのウェルカムメッセージは東京タワー!

ツアー・オブ・ジャパン2023最終ステージのスタート
アクチュアルスタートのサインを待つ選手。いよいよ、最終レースが始まる

レースは幕を開けると同時にアタックの掛け合いが始まった。予想通り、高速のレースになった。
3周回目に入り、石原悠希(シマノレーシング)のアタックをきっかけに、橋川丈(EFエデュケーション・NIPPO ディベロップメントチーム)、小林海(マトリックスパワータグ)ら5名の選手が逃げ集団を形成。メイン集団に18秒のタイム差を確保し、5名はその後も協調しながら先行した。

4周回目にはその差を28秒と広げ、メイン集団は逃げ集団を容認する形となった。メイン集団の先頭にはリーダーを擁するJCLチーム右京が並び、コントロールを開始した。
最初のホットスポットは、石原がトップ通過し、5ポイントを獲得。先頭5名にポイントランキング上位者はおらず、5名が逃げ続ける限り、ランパーティのポイント賞は守られていくことになる。
レースは折り返しの8周回完了時点で、5名の逃げ集団とメイン集団とのタイム差が1分42秒と開き、このままタイム差は、2分に迫るところまで広がった。

JCLチーム右京
メイン集団はJCLチーム右京がコントロール

ラスト5周回となったあたりから、この日もステージ優勝を狙いたいトリニティ・レーシングや、勝ち星がほしいソフェル・サヴィーニ・デュー・オムズがメイン集団の先頭に集まり、ペースアップを始めた。タイム差は一気に30秒縮まり、1分8秒差で残り4周に突入した。設定されたホットスポットは、石原が残り2回もトップ通過。ポイント賞上位勢の入
れ替えがあるとすれば、ゴールポイントによるもののみとなった。
メイン集団は、さらにペースアップ。先頭から2名が遅れ、3名に。さらにタイム差を36秒まで詰め、ラスト3周に突入した。逃げ切りたい先頭3名は、再度ペースアップを図り、一度縮まったタイムギャップを再び1分に広げて、ラスト2周に差し掛かった。しかし、メイン集団が15秒差まで詰めて最終周回に入り、とうとう3名は集団に吸収された。

優勝の行方は、最後の集団スプリント勝負に持ち込まれた。ラスト1km、激しい位置取り合戦から、いち早くトレインを組んで最終コーナーを立ち上がったのは、トラックレーサーなどスピードマンを多く抱えるチームブリヂストンサイクリング。

窪⽊一茂(チームブリヂストン サイクリング)
すばらしいスプリントで最終ステージを勝ち取った窪⽊一茂(チームブリヂストン サイクリング)

チームメイトの最強ともいえる牽引を受けた窪⽊一茂(チームブリヂストンサイクリング)が、最後鋭く伸びて見事ステージ優勝を飾った。窪木がこのレースで優勝するのは2019年以来、2回目だ。
2位には、岡本隼(愛三工業レーシングチーム)、3位に小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)と日本人3名が、表彰台を占めることになった。
ネイサン・アールは、集団の中で守られながら、無事にフィニッシュし、大会2連覇となる個人総合優勝を果たした。

窪⽊一茂(チームブリヂストン サイクリング)
ステージ優勝を果たし、表彰台に乗った窪木

チームと連携の取れた完璧なゴール勝負で優勝した窪木は、「本当に嬉しくて、今ちょっと言葉がでないです」と感無量の様子だった。残り500mから隊列を組み、最後は60km以上でリードアウトして欲しいとリクエストしていたそうだ。美濃ステージでの失敗を教訓に「油断せずに最後まで踏み」勝利したという。

ツアーオブジャパン表彰式
個人総合上位3名の表彰。ベンジャミン・ダイボール(ヴィクトワール広島)、連覇を果たしたネイサン・アール(JCLチーム右京)、3位に入った岡篤志(JCLチーム右京)

連覇を決めたアールは、喜びを語るとともに「昨年優勝して、またここに戻ってくることが大きな夢だった」と語った。昨年、大きな怪我を負い、今大会はそこからの復帰となった。復帰に向けて、ハードワークを重ねた結果、「ファンの皆さんも盛り上がってくれて、最後は表彰のステージに拍手で迎えてくれたことを、本当に嬉しく思います」と締めくくった。

ツアーオブジャパン表彰式
リーダーを守り抜き、4賞リーダーを確定させたリアム・ジョンストン(トリニティレーシング)、ルーク・ランパーティ(トリニティレーシング)、アール、レオネル・キンテロ・アルテアガ(ヴィクトワール広島)(左より)

ランパーティは4位でフィニッシュし、ゴールポイントも自ら積み増して、ポイント賞をさらに強固なものにして守り抜き、新人賞もジョンストンが守った。トリニティレーシングは、この大会には初参戦であったが、堺での第1ステージから、最終ステージまで、大きな存在感を見せつける結果となった。

チーム総合優勝のJCLチーム右京
チーム総合成績で首位となったJCLチーム右京のメンバー

チーム総合成績の首位は連覇を決めたJCLチーム右京。岡も総合3位に入る大健闘を見せた。

4年ぶりに8ステージのフルスペック開催となったツアー・オブ・ジャパン。選手は、華々しく8の地域を駆け抜けた。東京ステージも3万人の観客を集め、大成功だったと言えるだろう。
このあと、三重・熊野を舞台にツール・ド・熊野が開催され、6月下旬には全日本選手権が予定されており、サイクルロードレースは、シーズン前半のヤマ場を迎えることになる。

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【結果】
ツアー・オブ・ジャパン 第8ステージ・東京(112.0km)

1位/窪木一茂(チームブリヂストンサイクリング)2時間22分30秒
2位/岡本隼(愛三工業レーシングチーム)+0秒
3位/小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)
4位/ルーク・ランパーティ(トリニティレーシング)
5位/ゲオルギオス・バグラス(マトリックスパワータグ)

【個人総合順位(第8ステージ終了時)】
1位/ネイサン・アール(JCLチーム右京)17時間45分1秒
2位/ベンジャミン・ダイボール(ヴィクトワール広島)+45秒
3位/岡篤志(JCLチーム右京)+55秒
4位/ベンジャミン・プラデス(JCLチーム右京)+1分9秒
5位/ドリュー・モレ(キナンレーシングチーム)+1分34秒

【個人総合ポイント賞(ブルージャージ)】
1位/ルーク・ランパーティー(トリニティレーシグ)114p

【個人総合山岳賞(レッドジャージ)】
レオネル・キンテロ・アルテアガ(ヴィクトワール広島)41p

【個人総合新人賞(ホワイトジャージ)】
1位/リアム・ジョンストン(トリニティレーシング)

【チーム総合成績】
1位/JCLチーム右京

画像提供:ツアー・オブ・ジャパン組織委員会

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ツアー・オブ・ジャパン2023レースレポート
第1ステージ・堺
第2ステージ・京都
第3ステージ・いなべ
第4ステージ・美濃
第5ステージ・信州飯田
第6ステージ・富士山
第7ステージ・相模原

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