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競輪

2018/04/27

Joe Shimajiri

競輪ドキュメント第4回/鈴木奈央(静岡110期)

競輪ドキュメント第4回/鈴木奈央(静岡110期)

しかし、そこから高い壁が鈴木の前に立ちはだかった。ほとんどのレースで決勝まで駒を進めるものの、約1年間、優勝から遠ざかってしまったのである。
「勝ちたいという気持ち、欲が強くなってしまいました。踏まなければいけないところで、勝ちたいからもう少し遅らそうとか。結局、私の負け方は分かりやすいんです。自分が動かなければいけないところで動かずに間に合わない、それか先行して垂れちゃったというどっちかなんです」
自転車競技のオムニアム・ポイントレースならば1回の判断ミスでも修正して挽回も可能ではあるけれども、周回の短い競輪ではそうはいかない。また、勝てる時は基本的に何も考えていない、レース中に考えてしまうと出るのが遅くなってしまうという自己分析だ。

2018年は競技との両立の兼ね合いもあり、現時点で2開催6走したのみ。佐世保=3着・1着・3着、玉野=2着・3着・2着という結果は全て確定板ではあるが、鈴木の目指している高みからは無念でしかない。
「自分の力が足らないからなんですけれども、本当に悔しいですよね……」
報道陣からは判で押したように“久々ですけれども?”とか“3ヶ月ぶりだけど大丈夫?”という質問があり、日本代表という面ばかりが大きくクローズアップされる。取り上げられる、本命の◎印が付くのは競輪選手として嬉しいことだが、葛藤になっていることも否めない。
「はい、そこが私の課題だと思っています。勝たなくちゃいけないって、考えちゃうことになるところ。プレッシャーを感じないで走れるようにならないと」
再び鈴木の口調が強いものになった。
尚、レース前には予想紙も読むし、オッズも確認する。
「各選手のコメントから“どう動くのかな?”って。私も自力でレースを動かしたいので、自力の選手をチェックしています。その選手より先に動きたいので」

自転車競技

昨シーズン(2017−2018年)は確かな手応えを掴んだと、胸を張れるものだった。
ワールドカップ第2戦・マンチェスター(イギリス)で女子チームパーシュート=銅メダル、女子スクラッチ=6位の上位成績を収め、ワールドカップ第4戦・サンティアゴ(チリ)も女子チームパーシュート=銅メダル。アジア選手権・ニライ(マレーシア)はエリート女子チームパーシュート=金メダル(アジア新記録・日本新記録)で、トラック世界選手権・アペルドールン(オランダ)における女子スクラッチ=4位と、着実に世界の舞台でもトップレベルで互角に戦っている。これは2017年10月から日本代表中距離チームのコーチにイアン・メルビンが就任したことも大きい。メルビンはオーストラリア出身で、2013〜2016年はカナダのナショナルチーム男子中距離チームを指導して、劇的に成果を残した実績も持っている。

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