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2017/07/07

Norikazu Iwai

情報公開

情報公開

東京都議会議員選挙は小池百合子都知事が代表を務めた都民ファーストが第一党になった。その公約に情報公開がある。「ノリ弁」と言われる黒く塗りつぶして何が何だかわからない回答文書、それをクリアにするという。そこでだ、競輪界も思い切った情報公開をしてみてはどうだろうか。今でもある程度は公開されてはいるが……。
競輪界は1年を半年ずつに分け、その期間の競走得点でクラスが決まる制度になっている。1月から6月と、7月から12月が1年後に反映される。6月に入るとS級1班の点数がどうだこうだという声が選手間で聞かれる。まだ1班の話しならいいが、A級に落ちるかどうかのボーダーライン上の選手はそれこそ死活問題だ。自分の競走得点を計算し、あと何点取ればセーフだとか、大きい着を取ったらアウトなどと話しているらしい。中には斡旋されていても、ギリギリなら欠場する選手もチラホラ見受けられる。

プロ野球の世界でも残り数試合、ベンチを温めて首位打者を獲得したりとか、本塁打王争いをしていれば敬遠など。観戦する側からは見苦しいとしか思えない、興醒めとはまさにこのことをいう。プロとして子供に夢を与える立場の人間としていかがなものか?と、思ってしまう。
話しを競輪に戻そう。私が言いたいのは、どの選手がどの位置(順位)にいるのかということをファンに公開すべきだ。S級全選手の得点を上から並べてファンに見てもらう。それを見てファンは車券購入のヒントにすればいい。あの選手はこのレースで勝てばS級の点数を確保できると見れば、普段は早目の先行選手でも捲りを狙うかも知れない。同県の選手がラインを組んで走る場合は2番手を回る選手が勝負なら、前の選手はいつも以上に早く主導権を奪いに行く可能性も高く、二段駆けまであることも想定する。それを考えるのが競輪の醍醐味でもある。A級からS級に上がる場合も然りだ。競艇ではよく「〇〇選手は勝負駆け」とか新聞に載っている。競輪もそこまで情報を提供してくれるメディアもあるが、競艇ほどではない。期末の勝負がもっと興奮できるように、車券を買うにあたり、的中する確率が高くなるように。そのためにも、その期間の競走得点を大々的に公表した方がいい。

さらに「代謝制度」に目を向けると、露骨に休む選手が出てくる。確かに引退がかかっているわけだから、気持ちは分からなくもない。それでもプロである以上、与えられた仕事はしっかりこなしてほしい。当事者の目の色は真剣そのものだ。これは男子だけではなく、ガールズケイリンも同様である。まだ5年しか経っていないのに「代謝制度」(ガールズは下から3人)から逃れるため、早々と欠場する選手も見受けられる。ガールズも上から順番に公表した方がいい。 
失格の「第〇条」も優しくない。例えば、斜行や押し上げなどで斡旋が止まるケースがある。これはファンも見ていてある程度は分かるが、競走中の出来事ではなく、斡旋が止まる時はなぜだろう?と、疑念が湧いてくる。ルールを守れなかったのだから処罰されるのはどの世界でも同じだ。公明正大なレースを唱うならば、得点や期末の欠場をもう少し考えるべきだろう。

Text/Norikazu Iwai
Photo/Perfecta Navi・Joe Shimajiri

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