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競輪

2017/07/22

Joe Shimajiri

競輪ドキュメント第2回/近藤隆司(千葉90期)後編

競輪ドキュメント第2回/近藤隆司(千葉90期)後編

僕はこれから“何千走”も走りたいんです

今はグレードレースにも頻繁に斡旋されるようになった。テレビでしか知らなかったトップ選手たちに、近藤から簡単に声を掛けることはできないが、向こうから「近藤君、強くなったよね。どんな練習しているの?」と、尋ねられることは競輪選手として非常に嬉しく、モチベーションも上がる。中には冗談半分で「ドーピングしているでしょ」と、言われることも。当然、そのような行為に及ぶことなくトレーニングと節制で、力量を積み上げてきた近藤は「逆に誉め言葉、クスリやっていると思われるくらい強くなっているという意味ですから」と、一笑に付す。
「グレードレースを走れる、G1の決勝にも乗れるようになったのは大きな収穫、走るのが本当に楽しい。ただ、現状で強い選手と力勝負を挑んで勝てるのか?それは無理、展開が自分に向いてくれたら勝負できるという段階」
競輪は実力で勝てたのか?展開で勝てたのか?それを見極めることが大事だと、近藤は力説する。展開が向かなかっただけで、必要以上に自分を追い込んで調子を落としてしまう悪循環は避けたい。逆に、力不足でも展開が向いただけでの勝利で練習・調整方法に満足、勘違いしてしまうことも多々あるから。
「上がったからには下には落ちたくない。それに僕はこれから“何千走”も走りたいんです。1レースだけの結果で、一喜一憂しても仕方ないこと」
だからこそ客観的な視点が必要なのだ。

長く競輪選手でいたいですから

そして、近藤は50歳になっても今くらいの力ならば、まだまだ戦えると確信している。
「そのためには40歳までは身体を強くしていきたい。そこからフィジカルを上げることは難しいかも知れないですけれども、1度、覚えた呪文(戦術)は簡単に忘れることはないはず。武田さん(=豊樹/茨城88期)や村上さん(=義弘/京都73期)は40代でもバリバリのSS。後閑さん(=信一/東京65期)も『自転車は40歳からだ』って、仰っていました。自転車のセッティングや身体の使い方で補えると思っています。そういう風に考えられるようになったのは4年前から……本当にギリギリ間に合って良かったです!心の持久力も保って、長く競輪選手でいたいですから」
つい最近も偶然、テレビで観たレースで57歳になる佐古雅俊(広島45期)が加美山隆行(宮城92期)の後ろに付いて、番手捲りで1着になった。近藤は佐古のように自転車に乗り続け、レースで勝てる選手でありたい。

また、実弟の近藤夏樹(千葉97期)も調子が上向きで、この7月1日にA級3班からA級2班に昇級した。近い将来、記念レースで一緒に走り、競り合うことが夢だ。弟以外にも野口裕史(千葉111期)という新人の加入でも楽しみが増えた。
「野口君は僕と同い年で、元々、陸上(ハンマー投げ)で実績がある選手なんですけれども。身体にも恵まれていて、とにかく異次元の選手になる可能性がある。タイプも似ている深谷君(=知広/愛知96期)より強いんじゃないかって。そういう刺激を受けながら、僕も千葉勢もパワーアップ、レベルアップしていきたいですね。個々の力で足りないところはありますが、G1レースでの連携も増えてきましたし。そして、僕もいつかG1で優勝できたら最高ですよね」
端正に整った近藤の表情は、笑顔を浮かべながらも引き締まったものになった。

               Text & Photo/Perfecta Navi・Joe Shimajiri

(前編はこちらから)

 

 

近藤隆司(こんどう・りゅうじ)

1984年1月25日生 千葉県出身 千葉90期
175cm 77Kg 血液型A 脚質:逃
千葉北高出身

幼少時〜高校時代は水泳
中学までは自由形、高校からは平泳ぎ
高校卒業後、競輪選手を目指す
自転車競技は未経験だったが、
水泳と高校時代の自転車通学
(高校時代は“ママチャリ”で約25km/日)で培った体力で、
2回目の受験で競輪学校に合格
2005年7月、立川競輪場でデビュー

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