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競輪

2017/10/26

Yuji Yamada

“帝王”山田裕仁の競輪哲学 Vol.10

“帝王”山田裕仁の競輪哲学 Vol.10

10月に入って、各局のテレビ番組も改編時期ということで番宣絡みの番組が多かったりしますよね。余談ながら私の日課は朝起きて、まず喫茶店へ足を運びます。はい、モーニングコーヒー(岐阜のモーニングはコーヒー1杯の値段でトースト・玉子・サラダなどが付きます)を飲みに出かけて、帰宅後は『はぐれ刑事純情派』から『暴れ坊将軍』へと、お決まりのテレビ番組を観た後にお昼を迎えていたのです。それなのに両番組とも終了してしまい……毎日、モーニングコーヒー後のポッカリ空いた時間が寂しい今日この頃であります(苦笑)。

“季節の変わり目に注意!”
この言葉を昔からよく耳に、それこそ耳にタコができるくらい聞いていました。
今月は気温差が激しい日が続いたこともありまして、私は仕事先のホテルでエアコン付けっ放しで寝てしまったのです。
「ゔぅ〜〜〜っ、やっでじまっだ~〜〜ぁ!」
朝、起きると喉は渇いてガラガラ、なんとエアコンが暖房に切り替わっていたのです。私、体質的に冷房は大丈夫なのですが、暖房には弱くてすぐに喉がやられてしまうタイプ。ですから、必ず万全な加湿対策をするか、スイッチを切って厚着して寝るように心がけています。それなのに……就寝前のホテル内は快適な温度でしたし、つい先日まで半袖を着て歩いていたこともあって、エアコンの存在なんて気にも留めずに熟睡してしまったのです。
前述しましたように、目覚めると風邪を引いたかのようなかすれた声。慌ててノド飴を口の中に放り込んだところでガラガラ声が治るわけもなく。そして、悪声のままで予想会イベントへ出席。。。
仕事として報酬をいただいているイベントですから、プロとしては慎重かつ細心な体調管理が必要でした。イベントを楽しみにされていたファンの方々には、お聞き苦しい予想会であったことはもちろん、主催関係者にも迷惑をかけてしまったことを心底から猛省しています。
選手の方や読者の方々は私のような失敗をされないように、体調管理には本当に気を付けて下さいね。季節の変わり目は要注意ですから!

変わり目、節目と言いますと。先日、今まで使ってきた500バンク最後の千葉記念が開催されました。連日、雨の中での開催となってしまいましたけれども。特に、地元の選手たちが実に力のこもった走りで、ファンも大いに盛り上がった千葉記念だったと思います。
滝澤正光杯と、銘打った開催は今までいくつもの思い出や記録が刻まれてきた競輪場です。500バンクから250バンクの改修とは言え、60余年の歴史がある一つのバンクが消えていくことに、私も感傷的な気持ちになりました。

全国には老朽化が進み、建て替えや補強が早急に必要な競輪場及び場内建物がドンドン増えてきています。ただ、売り上げが減ったので、施設を改善する費用はなかなか確保できません。加えて、高齢化社会が深刻なご時世、医療費や年金などの問題も山積み。そこで賭博場改修するために、真っ先に税金を投入しようものなら一般市民がそれを許さないのが現状です。
という具合なことを書いていたら、かつて『施設改善競輪』という開催がありましたが、その売り上げで一体どこを改善していたのでしょうか??? という疑問も思い出してしまいました。

ミッドナイト無観客試合で経費削減、利益幅好調で喜んでいる業界ですけれども。本当の競輪の楽しさを味わえるのは、何よりも生観戦、目の前でスピードや迫力を味わってもらうことです。現在は“夜のギャンブル”を独り占めできているだけ、それゆえの好調だということじゃないでしょうか?
競輪の車券を買いたい!そう思わせる新規顧客獲得には、とにかく競輪の楽しさ(特に、臨場感で得られるもの)をもっと知ってもらうことが必要不可欠です。この先、競輪ファンを増やすには、とにかく現場・競輪場に足を運んでもらうこと。そのためには不快感を与えない環境作り、楽しみ方の多さ、ファンサービスの充実が大きな課題になると思います。

最後になってしまいましたが、千葉500バンク最後の記念競輪で、初優出・初優勝を決めた佐藤博紀選手(岩手96期)に大きな拍手を贈りたいです。そして、これからも歴史に名を残せるように、日々の精進を積み重ねられますように。

【略歴】

山田 裕仁

山田 裕仁(やまだ・ゆうじ)

1968年6月18日生 岐阜県大垣市出身
1988年5月に向日町競輪場でプロデビュー
競輪学校の同期で東の横綱・神山雄一郎(栃木61期)、西の横綱・吉岡稔真(福岡65期・引退)らと輪界をリード
“帝王”のニックネームで一時代を築いた
2002、2003年の日本選手権競輪(ダービー)連覇などG1タイトルは6つ
KEIRINグランプリ連覇を含む史上最多タイ3度の優勝など通算優勝110回
通算獲得賞金は19億1,782万5,099円。
2002年に記録した年間最高賞金2億4,434万8,500円はいまだに破られていない
自転車競技でも2001年のワールドカップ第3戦(イタリア)で銀メダルを獲得するなどの実績を残した
2014年5月に引退して、現在は競輪評論家として活躍中
また、競走馬のオーナーとしても知られる

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