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2020/09/14

P-Navi編集部

アスリートに学べ! マスクオン、残暑の熱中症対策

アスリートに学べ! マスクオン、残暑の熱中症対策

特に暑い中で身体を動かす時などは「こまめな水分補給」に加え、何か対策はないのだろうか。

「冷たいものを摂取して体内から冷やしたり、大動脈が流れている首元などを冷たいタオルなどで冷やしたりすることも良いです」

ロードレースの選手が真夏や灼熱の地のレースでは氷を入れたストッキングで、首筋から背中を氷で冷やしながら走るという話しを聞く。ダイレクトに冷やすということも現実的な対策になるようだ。

「冷たいもので体内から冷やす」方法だが、水やスポーツドリンクなどを製氷し、氷を微細に砕いてシャーベットと液体が混ざり合った状態にし、この流動性のある氷の粒子を飲むことで体内から効果的に冷やす「アイススラリー」という方法があるそうだ。

こころさんもチームで導入しているというアイススラリー。
氷を微細に砕き、流動性のある氷の粒子を含むドリンクを作る。

国内でも大塚製薬が馴染み深いポカリスエットのアイススラリーを製品化しており、ドラッグストアなどで店頭に並べる店舗も増え始めている。「アイソトニック」のポカリスエットと同じ電解質バランスを保ちながら凍らせると「スラリー」と呼ばれる、液体と氷との混合物になるという。ちなみにこの「スラリー」は氷を細かく砕くことで流動性を持たせるフローズンドリンクやスムージーとは異なり、細かくした氷が液体に分散した流動体の状態になっているために、体内に浸透しやすく、冷却効果が高いのだそうだ。「直接、熱を下げることや深部の冷却効果がプラスされた究極の製品」と、謳われている。

市販されているポカリスエットのアイススラリー。
本来特殊な技術や設備が必要なのだが、家庭の冷凍庫で凍結させてもスラリー状になる液体を開発。
ドラッグストア、ウェブ、一部のコンビニエンスストアなどで購入可能。
希望小売価格180円(税抜)

 冷凍庫で4時間以上凍らせ、少し揉んで柔らかくしてから食べる。
粘り気も感じるようなトロッとした食感の冷たい液体に。
再凍結してもスラリー状になるという。
ポカリスエット味で氷菓としてもかなり美味。

こころさんによればアイススラリーを運動前に摂っておくことで、体温の上昇を抑え、発汗量を減らし、脱水症状を抑えることが期待できるという。また、大量の水分を飲むことに比べると、少量で効率よく体温を下げられるため、胃腸への負担が小さいというメリットもあるということで、現在のチームでも導入しているという。

冷却効果ももちろんだが、暑い時期には冷たい食べものは嬉しいものだ。同じ効果を持つものを再現するのは難しいが、「内側から冷やす」ということをヒントに、近いものはスポーツドリンクなどをベースに、家庭のミキサーやジューサーでも作れるかも知れない。もちろん、運動後のクールダウンにも使えることだろう。美味しくて、楽しみながら作れる熱中症対策になりそうだ。

 

●日常から心掛けたい熱中症対策

外出時や運動時だけでなく、日々の暮らしの中でできる対策はないだろうか。

「食事では汁物を加えるのがお勧めです。暑い時は冷たい汁物(宮崎名物の冷汁のようなもの)も良いですね。その中に、そうめんなどの麺類を入れると、エネルギーを摂ることもできます」

真夏は食欲も減退しがちだが、冷たい麺類なら食べやすい。さらに汁にも栄養価が高く、飲めるようなものなら、発汗の多い日にはうってつけだ。日本ならではの食事の中にもヒントがありそうだ。「汗をかいた時に失われやすいカリウムが多い、いも類、海藻類、豆類、バナナなども積極的に食事、おやつに取り入れたいですね」

冷汁は程良く塩分(ミネラル)も摂取でき、身体も冷やしてくれる。
栄養もタップリ!

カリウムの多い食材も積極的に取り入れたい。

意外なことだが、朝食の欠食や寝不足も熱中症のリスクを上げてしまう。睡眠中にも人間は多量の汗をかいており、起床時は脱水状態であることも多い。食事をせず、ブラックコーヒーだけを飲んで出発!などといった行動をすると、一気に熱中症の危険信号が灯ってしまう恐れがある。朝食からエネルギー、水分、塩分をシッカリ摂り、身体のエンジンを回していきたいところ。寝不足状態だと脳の動きが鈍くなり、体温調整が上手にできなくなってしまうこともあり、熱中症を起こしやすくなってしまう。シッカリ食べて、飲んで、睡眠を確保できるよう、生活を立て直すことも重要な対策だ。尚、アルコールの飲み過ぎや二日酔いは脱水症状を招きやすく、熱中症も起こしやすくなるので、飲み過ぎにはくれぐれも注意して欲しい。

シッカリ3食を摂り、睡眠時間を確保。
身体の状態を整えよう。

外出の自粛という課題もあるが、冷房の効いた家に籠っていると、身体が弱り、ちょっとした状況の変化で、すぐに熱中症を引き起こすようになってしまう。是非、屋外での散策や室内施設であっても身体を動かし、汗をかく時間を設けてほしい。暑くなり始めの時期から30分程度の適度の運動を心掛けていくと、身体が暑さに慣れてくるという。朝や夕方など、気温が落ち着いた時間帯を狙い、自転車で近所を散策してみてはどうだろうか。身体を動かすことで血の循環も良くなり、心身のバランスも取りやすくなってくる。

 

●夏を楽しむために

この夏はメディアで新型コロナウィルスの感染リスクや酷暑予報と熱中症の危険が日々強調され、今も残暑が続くので、気が重くなっている方もいるかも知れない。しかし、熱中症は一部の極めて過酷な条件下で活動される職業の方を除き、通常の生活をされる方であれば今回、ご紹介した予防ポイントやコツを心得れば十分に回避できることだろう。是非、熱中症にも耐えられる強い身体を作る生活を楽しんで、残暑も満喫していただけたらと思う。

 

参考資料:環境省 熱中症環境保健マニュアル

日本救急医学会「新型コロナウイルス感染症の流行を踏まえた熱中症予防に関する提言」

写真提供:河南こころ、編集部等

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