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2022/02/11

P-Navi編集部

【北海道】スノーバイク×カーリング

【北海道】スノーバイク×カーリング

雪や氷の上を極太のタイヤを履いたファットバイクで走るスノーライド。ここ数年、全国でメジャーなアクティビティになってきており、スキー場のゲレンデなどで体験できる場所が増えてきた。北海道北見市では、冬季常設の専用コースに加え、公道をファットバイクで走り、カーリング体験をも合わせて楽しむ贅沢なプランが立ち上がり、試行が行われた。


雪上を走るスノーライド。今回は一般公道を走り、移動手段としても使用する

今回の試行には、弱虫ペダルサイクリングチームの唐見実世子さんも参加されることになった。チーム内ではコーチとしても活動されている選手だ。アテネ五輪にもロード種目で出場されており、春から秋はロードレースを走っているが、冬の競技であるシクロクロスでも日本のトップで活躍されており、今年度のマスターズの全日本チャンピオン。今回は競技から離れ、レジャーとしてプランを体験することになった。


バスから降り立つ唐見実世子さん

朝8時10分。北見バスターミナルから、北見バスの常呂線に乗車。通学する高校生とともに、バスに揺られること20分あまり。雪に埋もれる「ノーザンアークリゾート」バス停に到着した。この施設に設営されている自転車用のフィールド「ヒーローズパーク」では、冬季はスノーバイクが楽しめるのだ。


ヒーローズパーク主宰のヒロさん。情熱をかけてこの美しいコースを管理・運営している

さっそく、「ヒーローズパーク」主宰のヒロさんと合流。このコースは、ゴルフ場のカートコースをベースにヒロさんが小さな除雪機を使い、丁寧に除雪を繰り返し造り上げている。「除雪車を入れたら作業は簡単だけど、ルートはキレイではなくなってしまうんです」と苦笑するヒロさん。広大なゴルフ場の美しい自然の中に伸びる美しい回廊のようなコースは、ヒロさんの日々の壮大な苦労の積み重ねがあって成り立っているもの。
今年は積雪量が極めて多く、除雪作業が難航した。安全を確保できるコース設営が難しく、この時点ではエリアを限定した3km程度のショートコースが設営されていた。丘の上まで上り、帰ってくるコースだが、アップダウンもあり、十分走りごたえがあるという。

今回は、お借りするファットバイクとともに、コースのスタート地点まで車で上げてもらうことになった。スタート地点でバイクのフィッティングを行う。サドル高を合わせ、またがってフィット感を確認し、いざコースへ。


フィッティングを済ませ、出発!

前日夜半から雪が降り、固めてくれていたコースの上に積もってしまったため、少し難しいコンディションになっているようだ。ヒロさんが早朝から再度除雪をし、走りやすいように整えてくれたのだが、雪は降り止まず、コース全体を覆い続けていた。「雪が積もってしまったので、ちょっと走りにくいかもしれません」と苦笑するヒロさん。走りやすさは別として、ふわふわの真っ白な雪が積もったフィールドは最高に美しく、おとぎ話の世界のよう! ファットバイクにまたがり、コースに漕ぎ出した。


雪の中のコースを走る


広大なゴルフ場の中に設営されたコース。ライダーを取り巻くのは自然のみだ

唐見さんはコースに踏み出し、初めての感覚に、思わず、「うわー! 楽しい!!!」と声を上げる。同じ自転車でありながらも、ロードとも、シクロクロスとも、マウンテンバイクともまったく感覚が違うという。さすがのバイクコントロールで、軽快にバイクを進めていった。


コースがふわふわの雪で覆われ苦戦するが、それを含めて新しい経験。感覚を楽しめる

筆者も一行の後を追ったが、ふわふわの路面は、体験したことのない感覚だった。ファットバイクは太いタイヤが衝撃を吸収するため、そもそもソフトな乗り心地なのだが、さらに雪に吸収されていくような感覚。ペダルを踏み込んでもタイヤが路面に噛まず、ペダルが空転し、うまく進めないこともある。バランスを崩しても、えい!と、勢いで乗り切ればいいのだが、ブレーキをかけてしまうと、再スタートに手間取って遅れてしまう。そんな雪との駆け引きも、このふわふわの感覚も楽しい。美しい雪景色の中を自転車で抜ける特別感は格別だ。

舗装道路の上ならなんなく走れる小さなアップダウンも、雪の上では大仕事。躊躇(ちゅうちょ)すると止まってしまうので、ギアを軽くし、焦らずにペダルを回し続けるしかないのだが、やはり何度も止まってしまった。筆者の脚力では、押し歩いた方が速いこともあり、時に開き直って押して走る。そのたびに皆で大笑いだ。気温はもちろん氷点下だったが、雪との戦いで汗だくになった。吸汗即乾素材のスポーツインナーを着てきて正解。冷気が吹き付ける指先だけが、センサーのように気温が低いことを語っていた。


「茶屋」に到着。「営業中」の札がかかっていた

ようやく丘を上り切った地点にある「茶屋」に到着。入り口の「営業中」のサインに笑っていると「本当に営業してるんですよ」と、ヒロさんは微笑んだ。温かい飲み物のほか、カップラーメンも作れるという。
それぞれドリンクをオーダーし、北見名物のミントクッキー、メンビスをいただいた。カラダがホカホカで、感覚が狂っていたが、ここは氷点下の世界。メンビスのチョコがキンキンに冷えていて、新鮮な食感だった。


温かいドリンクと北見名物のメンビスをいただく


美しい雪景色を眺めながら、ほっこりと休憩

広い窓の外に広がるのは一面の雪景色。誰ひとりおらず、静かで美しい景観が広がっている。冬の美しいゴルフ場を独占し、楽しめるなんて、なんと贅沢な経験であることか。

※スノーバイクで、いよいよ公道パートへ。→2ページ目をご覧ください。

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